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中学生向け!地学の探究実験に挑戦!

コレクト 科学的探究のステップ

ここから紹介する実験は、ただ手順通りに行うだけではありません。科学者が行うのと同じように、「①課題の設定 → ②予想 → ③実験・観察 → ④考察 → ⑤結論」という、論理的なステップで進めてください。このプロセスそのものが、君たちの科学的思考力をきたえる、最高のトレーニングとなります。

1. 地震波の伝わり方モデル実験

① 課題:地震波はどのように広がり、障害物によってどう変化するのか?

② 予想:波は同心円状に広がるはず。障害物に当たれば、反射したり、回り込んだりするだろう。

③ 実験・観察:

  1. 水槽に水を張り、水面にビー玉などを浮かべる。
  2. 水槽の端を指で軽くたたき、波の広がり方とビー玉の動き(その場で上下するだけ)を観察する(P波のモデル)。
  3. 水槽の端を水平にゆっくりゆすり、波の広がり方を観察する(S波のモデル)。
  4. 水槽の中に障害物(板など)を置き、波が当たったときの様子(反射・回折)を観察する。

④ 考察:P波とS波の伝わり方の違いは、ビー玉の動きからどのように考えられるか? 障害物があったときの波の動きは、実際の地震で、山や地下の固い岩盤がゆれにどう影響するかを考えるヒントにならないか?

⑤ 結論:実験結果からわかったことを、自分の言葉でまとめよう。

2. 地形モデルと浸食実験

① 課題:川の流れの「傾斜」と「水量」は、土地をけずる力(浸食作用)に、それぞれどのように影響するのか?

② 予想:傾斜が急なほど、また、水量が多いほど、浸食作用は強くなるだろう。

③ 実験・観察:砂や土を入れたトレイで傾斜を作り、「傾斜だけを変える実験」と「水量だけを変える実験」を、条件をそろえて行い、削られ方の違いを比較・記録する。

④ 考察:なぜ、そのような結果になったのか、「水のエネルギー」という言葉を使って説明しよう。この実験結果は、実際の川の上流と下流の違いや、大雨のときに災害が起きやすくなる理由と、どのようにつなげられるだろうか?

⑤ 結論:実験結果からわかったことを、自分の言葉でまとめよう。

3. ハザードマップを使った災害リスク調査

① 課題:自分の住む地域の地形的な特徴と、想定される災害リスクには、どのような関係があるのか?

② 予想:川に近い低い土地は洪水の、山の近くの急な斜面は土砂災害のリスクが高いと地図から読みとれるはずだ。

③ 実験・観察:

  1. 自治体が公開している「洪水ハザードマップ」「土砂災害ハザードマップ」などを入手する。
  2. 地図アプリや国土地理院の地図で、自宅や学校周辺の標高や地形(谷、川沿いの低地など)を確認する。
  3. 2つの地図を重ね合わせ、危険とされる区域と、地形的な特徴との間に関係性があるかを探る。指定されている避難場所の位置と、そこへの安全な経路も確認する。

④ 考察:なぜ、その場所が危険区域に指定されているのか、地形的な理由を説明しよう。自分の通学路に危険な場所はなかったか? もし災害が起きたら、どのようなタイミングで、どこへ避難すべきか、具体的にシミュレーションしてみよう。

⑤ 結論:調査からわかった、自分の地域の災害リスクと、そのために必要な「備え」をまとめよう。

4. 微気象観測

① 課題:ごくせまい範囲でも、日当たりや地面の材質の違いによって、気象条件(特に気温)は変化するのか?

② 予想:日なたと日かげ、コンクリートの上と土の上では、気温に明確な差が出るはずだ。

③ 実験・観察:同じ時刻に、自宅の庭やベランダの、条件がちがう複数地点(日なたのコンクリート、日かげの土の上など)の気温を、地上から同じ高さで測定し、記録する。これを数日間、時間を変えてくり返す。

④ 考察:測定結果をグラフにまとめ、場所による気温の違いが最も大きくなるのは、どのような天気の日、どのような時間帯だったかを探ろう。この結果は、都市部で気温が上昇する「ヒートアイランド現象」と、どのようにつなげて考えられるだろうか?

⑤ 結論:実験結果からわかったことを、自分の言葉でまとめよう。