高校生向け!地学の探究ラボへようこそ!
科学的探究の流儀
ようこそ、探究ラボへ。ここでは、現象をただ観察するだけでは終わりません。自ら「仮説」を立て、それを検証するための「モデル実験」を設計し、得られたデータから「定性的・定量的考察」を行い、結論を導き出します。この一連のプロセスこそが、科学の本質です。思考の限界に挑戦してみましょう。
1. プレート運動モデル実験
① 課題:プレート境界のタイプ(衝突、沈み込み)は、地殻変動にどのような違いをもたらすのか?
② 仮説:大陸プレート同士の衝突では大規模な「しゅう曲山脈」が、海洋プレートの沈み込みでは「海溝」と「火山活動」が再現できるはずだ。
③ モデル実験:
- 厚紙や消しゴムなどを「プレート」に見立てる。
- 【衝突の再現】2枚の大陸プレート(同じ硬さの消しゴムなど)を、定規などで両側からゆっくりと押し付け、どのように変形するか(しゅう曲するか)を観察する。
- 【沈み込みの再現】硬い大陸プレート(厚紙)の下に、少し柔らかい海洋プレート(画用紙など)を、低い角度でゆっくりと押し込み、境界面でどのような地形(海溝)が形成され、大陸プレート側がどのように盛り上がるかを観察する。
実験のコツ!
プレートの上に、小麦粉や砂をうすくふっておくと、押し縮められたときにできる「しわ(しゅう曲)」の様子が、もっとリアルに観察できるよ!
④ 考察:このモデル実験で再現できた「しゅう曲」や「海溝」は、実際のヒマラヤ山脈や日本海溝の形成メカニズムと、どのようにつなげて考えられるか? 逆に、この単純なモデルでは再現できていない、実際の地球で起きている複雑な現象(例:地震の発生、マグマの生成)は何か?
⑤ 結論:実験結果からわかったことを、自分の言葉でまとめよう。
2. 粒度別堆積モデル実験
① 課題:流れる水によって運ばれた土砂は、流れがゆるやかになる場所で、どのように堆積するのか?
② 仮説:河口付近など流れがゆるやかになる場所では、重く大きい粒子(れき)が先に沈み、軽く小さい粒子(泥)ほど、より遠くまで運ばれてから沈むはずだ。
③ モデル実験:
- れき・砂・泥を混ぜた土砂を用意する。
- 大きめの水槽や衣装ケースの片方を高くして傾斜をつけ、水をゆっくりと流し、簡易的な川を作る。
- 上流から、用意した土砂を少しずつ流し込む。
- 水槽の底に、土砂がどのように積もっていくか(粒の大きさごとに分かれて積もるか)を観察する。
④ 考察:観察された地層の断面は、河口から沖合にかけての海底の堆積物や、地層の「級化層理(級化成層)」という構造と、どのようにつなげて考えられるか? この原理を応用すれば、地層の上下判定に利用できるのではないか?
⑤ 結論:実験結果からわかったことを、自分の言葉でまとめよう。
3. 湿度と露点の定量的測定
① 課題:空気の湿度と、水蒸気が凝結を始める温度(露点)には、どのような定量的な関係があるのか?
② 仮説:空気中の水蒸気量が多い(湿度が高い)ほど、少し冷やしただけですぐに凝結が始まるため、露点は高くなるはずだ。
③ 実験・観察:
- 部屋の気温と湿度を、温湿度計で正確に記録する。
- 金属製のコップによくかき混ぜながら少しずつ氷水を加え、コップの表面がくもり始めた瞬間の、水温を測定する。この温度が「露点」である。
- 加湿器や除湿器、あるいは換気などによって部屋の湿度を意図的に変化させ、それぞれの湿度条件で、露点がどのように変化するかを、複数回測定し、記録する。
④ 考察:測定結果を、横軸に湿度、縦軸に露点をとってグラフにプロットしてみよう。どのような関係性が見られるか? 飽和水蒸気量曲線図上で、この実験結果はどのように説明できるか? この原理は、朝霧の発生予測にどう応用できるだろうか?
⑤ 結論:実験結果からわかったことを、自分の言葉でまとめよう。