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指導案:前線のモデル実験と天気変化の考察 (中2)

教材執筆中のコレクト 本指導案の設計思想

本単元の学習目標は、寒冷前線・温暖前線通過時の天気変化を暗記することではありません。「あたたかい空気は軽く、冷たい空気は重い」という基本原理に基づき、性質の異なる空気がぶつかった際に何が起きるのかを、水槽を使ったモデル実験で視覚的に体験し、そこから雲の種類や雨の降り方の違いを、生徒自身が論理的に導き出せるようになることです。

授業展開案(50分)

  1. 導入(5分):問いかけ
    • 「昨日は暖かかったのに、急に雨が降って、今日は寒い」といった身近な天気変化の例を挙げる。
    • 問いかけ:「なぜ、こんなに急に天気が変わり、気温が大きく下がることがあるのでしょうか?」
  2. 展開①(20分):前線のモデル実験
    • 水槽の中央を仕切り板で分け、片方に食紅で色をつけた温かいお湯(暖気モデル)、もう片方に氷と食塩で冷やした冷たい食塩水(寒気モデル)を入れる。
    • 問いかけ:「この仕切り板をそっと抜いたら、2つの水はどのように動くと予想しますか?」
    • 仕切り板を抜き、重い寒気が軽い暖気の下に潜り込み、暖気が押し上げられる様子を観察させる。これが「前線面」のモデルであることを伝える。
  3. 展開②(15分):寒冷前線と温暖前線の作図と考察
    • 実験結果を基に、「重い寒気が暖気を押していく場合(寒冷前線)」と「軽い暖気が寒気の上にはい上がる場合(温暖前線)」の断面図を、空気の上昇角度に注目させて描かせる。
    • 問いかけ:「急な角度で押し上げられた空気と、ゆるやかな角度で昇っていく空気では、できる雲の形や、雨の降る範囲は、それぞれどうなると考えられますか?」
    • 積乱雲(せまい範囲・強い雨)と乱層雲(広い範囲・弱い雨)の形成と結びつけさせる。
  4. まとめ(10分):天気変化のパターンの確認
    • 導き出した考察を基に、寒冷前線・温暖前線が通過するときの、気温・風向・天気の典型的な変化パターンを、理由とともに整理し、授業を終える。