指導案:自然の恵みと防災(ハザードマップの活用) (中3)
本指導案の設計思想
本単元の学習目標は、災害の種類を暗記することではありません。中学理科で学んだ全ての地学知識(地形、地質、気象)を総動員し、**ハザードマップという科学的データを、自らの「命を守る行動」に結びつける**能力を育成することです。自然の恵みと災害が表裏一体であることを理解した上で、科学的根拠に基づいた防災・減災行動の重要性を、生徒自身が主体的に考察することが目標です。
授業展開案(50分)
- 導入(10分):恵みと災害の二面性
- 「火山」がもたらすもの(温泉、観光資源)と、「地震」がもたらすもの(断層運動による地形形成)など、自然の恵みについて確認する。
- その一方で、それらが引き起こす災害(噴火、地震災害)の事例を提示し、恵みと災害が表裏一体であることを認識させる。
- 展開①(20分):ハザードマップの読解とリスクの特定
- 自治体が発行する、学校周辺の「洪水ハザードマップ」と「土砂災害ハザードマップ」を配布する(事前に準備)。
- 問いかけ:「私たちの学校や、自分の家は、どのような災害のリスクがある区域に指定されていますか?」「なぜ、その場所が危険だと考えられますか? これまで学んだ理科の知識(地形、川の働きなど)を使って説明してください。」
- グループでマップを読み解き、自分たちの身のまわりに潜むリスクを、科学的な根拠と結びつけて特定させる。
- 展開②(10分):避難行動の考察
- 問いかけ:「もし、大雨特別警報が発表されたら、私たちはどのような情報を基に、いつ、どこへ避難すべきでしょうか? マップを見ながら、最も安全な避難経路を考えてみましょう。」
- 災害情報(警報、避難指示)の意味を確認し、リスクを回避するための具体的な行動計画を考察させる。
- まとめ(10分):科学的防災の重要性
- 「知ること(知災)」が、災害から命を守る第一歩であることを強調する。
- 理科の学習が、自然現象を正しく理解し、データに基づいた合理的な判断を下すための、最も強力な「防災訓練」であることを伝え、中学理科の地学分野の学習を締めくくる。