指導案:飽和水蒸気量のグラフから雲の発生を考察する (中2)
本指導案の設計思想
本単元の学習目標は、湿度の公式を暗記させることではありません。「気温が高いほど、空気は多くの水蒸気を含むことができる」という飽和水蒸気量曲線の意味を理解し、それを基に、「なぜ、空気が上昇すると雲ができるのか」という気象学の根幹を、露点という概念を用いて論理的に説明できるようになることです。
授業展開案(50分)
- 導入(10分):現象の共有と問い
- 冷たいペットボトルの表面に水滴がつく現象を提示する。
- 問いかけ:「この水滴は、ペットボトルの中からしみ出してきたのでしょうか? それとも、どこか別の場所から来たのでしょうか?」
- 空気中には目に見えない水蒸気が含まれていること、それが冷やされることで水滴に変わる(凝結)という小学校での既習事項を確認する。
- 展開①(15分):飽和水蒸気量曲線の読み解き
- 飽和水蒸気量曲線グラフを提示する。
- 問いかけ:「このグラフの横軸と縦軸は何を表していますか?」「気温20℃の空気1㎥には、最大で何gの水蒸気が含まれますか?」など、グラフの基本的な読み取り方を習熟させる。
- 「気温が高いほど、飽和水蒸気量は大きい」という最も重要な関係性を読み取らせる。
- 展開②(15分):露点の概念と湿度の計算
- 「気温30℃で、1㎥あたり17.3gの水蒸気を含む空気」をグラフ上にプロットさせる。
- 問いかけ:「この空気を冷やしていくと、何℃で水滴ができ始めますか? なぜ、そう考えますか?」→露点の概念を導入。
- 同じ空気の湿度を、「(現在の水蒸気量)÷(その気温での飽和水蒸気量)× 100」という考え方から計算させる。
- まとめ(10分):雲の発生メカニズムへの応用
- ペットボトルで雲を作る実験を演示し、内部が白く曇る様子を見せる。
- 問いかけ:「ペットボトルの圧力を下げると、なぜ雲ができたのでしょうか? 今日の授業で学んだ『空気を冷やすと水滴ができる』という考え方を使って説明してください。」
- 「圧力が下がる→空気が膨張する→温度が下がる→露点に達して凝結する」という、雲の発生メカニズムを、本時の学びと結びつけて解説し、授業を終える。