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指導案:天体の年周運動と季節の星座 (中3)

教材執筆中のコレクト 本指導案の設計思想

本単元の学習目標は、「夏の大三角」などの星座名を暗記することではありません。「なぜ、季節によって見える星座が変わるのか」という問いに対し、地球の「公転」というモデルを用いて、生徒自身がそのメカニズムを図解し、論理的に説明できるようになることです。日周運動と年周運動という2つの見かけの動きを、地球の2つの実運動(自転と公転)に、明確に対応させることが目標です。

授業展開案(50分)

  1. 導入(5分):問いかけと既習事項の確認
    • 「オリオン座は、いつの季節に見える星座ですか?」と問いかけ、季節の星座の存在を想起させる。
    • 日周運動の原因が地球の自転であることを復習する。
  2. 展開①(20分):年周運動のシミュレーション
    • 体育館や広い教室の中央に電球(太陽役)を置き、そのまわりに星座名を書いた紙を貼る。
    • 生徒自身が地球役となり、電球のまわりを反時計回りにゆっくりと公転しながら、自転(その場で反時計回りに回転)する。
    • 問いかけ:「自分が公転軌道上の『夏』の位置にいるとき、真夜中(太陽と反対の方向)に見える星座は何ですか?」「『冬』の位置に移動すると、真夜中に見える星座はどう変わりますか?」
    • 地球の公転によって、夜(太陽と反対側)に見える星座が変化していくことを、身体的に体験させる。
  3. 展開②(15分):年周運動の作図と定量的理解
    • 体験したシミュレーションを、黒板やノート上で、太陽・地球・星座の位置関係図として作図させる。
    • 太陽のまわりの星座の背景を「黄道十二星座」として紹介する。
    • 問いかけ:「地球が1年(12ヶ月)で360°公転するということは、1ヶ月では、星空に対する太陽の位置は約何度ずつずれて見えますか?」(→約30°)
    • 年周運動が、1ヶ月に約30°ずつ西へ動く見かけの動きであることを、公転の速度から論理的に導き出す。
  4. まとめ(10分):知識の統合
    • 日周運動(1日/自転)と年周運動(1年/公転)の原因と見かけの動きを、表にまとめて整理する。
    • 本時の学びが、古代の人々が暦を作ってきた歴史と深く結びついていることを示唆し、授業を終える。