中3理科③:月の運動と見え方
この記事で学ぶこと
新月、三日月、上弦の月、満月…。形を変えながら、夜空での位置を変えていく、月。小学校で学んだこの「満ち欠け」のしくみを、中学校では「地球の自転」と「月の公転」という2つの運動を組み合わせて、より立体的に、そして論理的に解き明かしていく。月の見え方をマスターすれば、きみも夜空の動きを予測できる、天体探偵になれる!
月の満ち欠けと公転
まず、基本原則を再確認しよう。月は自ら光る「恒星」ではなく、太陽の光を反射してかがやく「衛星」だ。そして、約29.5日かけて、地球のまわりを1周している(月の公転)。
この公転によって、太陽、月、地球の3つの天体の位置関係が周期的に変わる。これにより、地球から見たときに、月の光っている部分が、新月→上弦の月→満月→下弦の月→新月…と、形を変えていくように見えるんだ。
ちさまるといっしょに考えよう!
夕方、西の空にほそーい三日月が見えることがあるけど、あれって、太陽が沈んだ直後にしか見えない気がする…。満月は、真夜中でも南の空に見えるのに。月の形と、見える時間・方角って、何か関係があるのかな?
コレクトの論理 de 解説:月の見え方
その通りです。月の形と、それが見える時間・方角には、絶対的な法則性があります。太陽と地球の位置を固定して考えてみましょう。
- 新月(見えない):月が、太陽と地球の間に来たとき。太陽と同じ方向にあるため、昼間に出ていますが、光が強すぎて見えません。
- 三日月(夕方・西の空):新月から少しだけ公転した月。太陽を追いかけるようにして、夕方、西の空の低い位置に見え、すぐに沈みます。
- 上弦の月(夕方・南の空):太陽から見て東に90°離れた位置。夕方に南の空に見え、真夜中に西へ沈みます。右半分が光って見えます。
- 満月(一晩中見える):地球をはさんで、太陽と反対側に月が来たとき。夕方、東の空から昇り、真夜中に南の空で最も高くなり、朝方、西の空へ沈みます。
- 下弦の月(真夜中・東の空):真夜中に東の空から昇り、朝方、南の空に見えます。左半分が光って見えます。
なぜ月はいつも同じ面を向けているのか?
わたしたちは、地球から月の裏側を見ることはできない。これは、月の「自転」と「公転」の周期が、偶然にもほぼ同じ(約27.3日)だからだ。月は、地球のまわりを1周する間に、自分自身もちょうど1回転している。そのため、いつも同じ面を地球に向けながら、公転しているんだ。
コレクトの発展ラボ:月の満ち欠けの周期
月の公転周期(約27.3日)と、満ち欠けの周期(約29.5日)が少しずれていることに気づきましたか? これは、月が地球のまわりを1周する間に、その地球自体も太陽のまわりを公転しているためです。月が元の位置にもどったとき、地球は少し先に進んでいるため、満ち欠けが同じ形にもどるためには、月がもう少し余分に公転する必要があるのです。
受験対策まとめ
月の問題は、頭の中に宇宙空間をイメージできるかが勝負だ!
- 太陽・地球・月の位置関係と、月の形の関係を完全にマスターする。
太陽の光が常に右から当たっている図を思い浮かべ、月の公転位置によって、地球からどう見えるかを、自分で描けるようにしよう。 - 特定の月の「見える時刻」と「方角」を覚える。
特に、「夕方、南の空に見えるのは上弦の月」「真夜中、南に見えるのは満月」は頻出。地球の自転(時刻)と月の公転(位置)を組み合わせて考えよう。 - 月の光っている側と、太陽の方向の関係を理解する。
月が光っている側には、必ず太陽がある。この原則を使えば、月の形から太陽の方向を、太陽の方向から月の形を、論理的に導き出せる。
チャレンジ問題
ある日の真夜中(午前0時ごろ)、南の空に、左半分だけが光っている半月が見えた。この月の名前を答えなさい。また、この月が、翌朝の午前6時ごろには、どちらの方角の空に見えると考えられるか、答えなさい。
こたえを見てみる
月の名前:下弦の月
見える方角:西
【考え方】天体の日周運動により、すべての天体は1時間に15°ずつ、東から西へ動いて見える。真夜中に南の空に見えた月は、6時間後の朝6時には、15°×6時間=90°、西へ動いている。南から90°西へ動いた方角は、西となるため。