中3理科④:日食と月食
この記事で学ぶこと
太陽、月、地球。この3つの天体が、宇宙空間で一直線に整列するとき、特別な現象が起きる。太陽が月に隠される「日食」と、月が地球の影に入る「月食」だ。この単元では、それぞれの現象が「なぜ」「いつ」「どのように」起きるのかを、3つの天体の位置関係から、論理的に解き明かしていく。宇宙の壮大なからくりを、その目で確かめよう。
日食:月が太陽を隠す現象
日食は、太陽 → 月 → 地球 の順番で、3つの天体が一直線に並んだときに起こる。地球から見ると、月が太陽の前を横切ることで、太陽の一部または全部が隠されてしまう現象だ。
- 皆既日食:太陽が、月に完全に隠される現象。空は夜のように暗くなり、ふだんは見えないコロナを観察できる。
- 部分日食:太陽の一部だけが、月に隠される現象。
- 金環日食:太陽の中央部分が月に隠され、ふちの部分が金のリングのようにかがやいて見える現象。これは、月と地球の距離が少し遠いときに起こる。
日食が起こるのは、月の影が地球の上に落ちるからだ。月の影は、地球全体から見ると非常に小さい点にすぎない。そのため、日食は地球上のごく限られた場所でしか見ることができない、とてもめずらしい現象なんだ。
ちさまるといっしょに考えよう!
太陽、月、地球の順番に並ぶのって、月の満ち欠けでいうと「新月」のときだよね。じゃあ、毎月、新月のたびに日食が起きてもよさそうなのに、どうしてそんなにめずらしいんだろう?
月食:月が地球の影に入る現象
月食は、太陽 → 地球 → 月 の順番で、3つの天体が一直線に並んだときに起こる。地球が太陽の光をさえぎることでできる巨大な影(本影)の中に、月がすっぽりと入ってしまう現象だ。
日食とはちがい、月食は、地球上で夜になっている場所なら、どこからでも同時に観察することができる。また、月食の最中の月は、真っ暗になるのではなく、赤黒い「赤銅色」に見える。これは、地球の大気で屈折した太陽の赤い光が、月面をかすかに照らすために起こる、幻想的な現象だ。
コレクトの論理 de 解説:なぜ毎月起きないのか
その疑問は、的を射ています。日食が新月のたびに、月食が満月のたびに起きない理由は、地球が太陽のまわりをまわる軌道面(公転面)と、月が地球のまわりをまわる軌道面が、完全に同じ平面ではなく、約5°傾いているためです。
このわずかな傾きのために、ほとんどの新月や満月では、月が太陽や地球の影の、わずかに「北」か「南」を通過してしまいます。この2つの軌道面が交差する点で、ちょうど新月または満月になったときだけ、3つの天体が完璧に一直線に並び、食が起こるのです。これが、日食や月食がめずらしい現象である、論理的な理由です。
受験対策まとめ
日食と月食は、天体の位置関係を問う問題の王道だ!
- 2つの食の「天体の並び順」を完璧に覚える!
- 日食:太陽-月-地球 (月が太陽を隠す)
- 月食:太陽-地球-月 (月が地球の影に入る)
- それぞれの食が、いつ(月の形)起きるかを理解する!
日食は「新月」のとき、月食は「満月」のときにしか起こらない。 - 「なぜ毎月起きないのか」を説明できるようにする!
キーワードは「地球と月の公転面が、約5°傾いているから」。記述問題で頻出。
チャレンジ問題
ある夜、満月がだんだんと欠けていき、やがて赤黒い色になる現象を観察した。
問1:この天文現象の名前を答えなさい。
問2:このとき、太陽、地球、月の位置関係は、どのようになっていたか。順番に答えなさい。
問3:この現象が起きているとき、もし月から地球を見ていたとしたら、地球はどのように見えると考えられるか。簡潔に説明しなさい。
こたえを見てみる
問1の答え:月食
問2の答え:太陽 → 地球 → 月
問3の答えの例:
地球が太陽を完全に隠す「日食(地球による日食)」のように見える。地球の輪郭が、夕焼けのように赤くかがやいて見えると考えられる。