中3理科①:天体の動きと地球の自転・公転
この記事で学ぶこと
夜空の星や太陽は、毎日同じように東から昇り、西へ沈んでいくように見える。でも、それは本当の動きなんだろうか? この単元では、天体の「見かけの動き(日周運動・年周運動)」と、その原因である「地球の本当の動き(自転・公転)」との関係を、論理的に解き明かすよ。「天動説」から「地動説」へ。人類の宇宙観を大きく変えた、科学的思考の根幹にふれる旅だ!
天球と、天体の日周運動
わたしたちが地上から空を見上げると、星や太陽は、自分を中心とした巨大なボール(天球)の内側にはりついて、動いているように見える。この、地球から見た天体の1日の見かけの動きを「日周運動」という。
- 天体は、1日に1回転(360°)、東から西へと動いているように見える。
- 計算すると、1時間あたりでは、360° ÷ 24時間 = **15°** ずつ、西へ動いていることになる。
- 北の空では、ほとんど動かない北極星を中心に、反時計回りに回転しているように見える。
ちさまるといっしょに考えよう!
メリーゴーランドに乗っているとき、本当は自分が回っているのに、まわりの景色が動いているように見えるよね。天体の日周運動も、もしかして、それと同じなんじゃないかな…?
コレクトの論理 de 解説:日周運動の原因
その通りです。天体の日周運動は、天体が実際に動いているのではなく、観測者であるわたしたちが乗っている地球が、1日に1回転、西から東へ「自転」しているために起こる、見かけの動きです。地球という巨大な乗り物に乗っているため、静止している宇宙のほうが、逆に東から西へ動いているように見えるのです。
星座の年周運動と、地球の公転
日周運動とは別に、星空にはもう一つ、ゆっくりとした動きがある。それは、同じ時刻に観察すると、星座の位置が、1年をかけて少しずつ西へとずれ、ちょうど1年後に元の位置にもどってくるように見える動きだ。これを「年周運動」という。
- 星座は、1年で1回転(360°)、東から西へと動いているように見える。
- 計算すると、1ヶ月あたりでは、360° ÷ 12ヶ月 = **30°** ずつ、西へ動いていることになる。
- この動きによって、夏には夏の星座、冬には冬の星座というように、季節によって見える星座が変わる。
コレクトの論理 de 解説:年周運動の原因
年周運動の原因は、地球のもう一つの運動、すなわち、地球が1年かけて、太陽のまわりを1周する「公転」です。地球が公転することで、地球から見た太陽の方向が、星座の背景に対して少しずつ変わっていきます。そして、夜に見えるのは、太陽と反対側の方向にある星座です。地球が公転軌道上のちがう位置に移動するにつれて、夜に見える星座も、少しずつ変わっていくのです。
受験対策まとめ
天体の見かけの動きと、地球の本当の動きの関係は、高校入試で最も差がつく分野の一つだ!
- 2つの「見かけの動き」と、2つの「本当の動き」を、原因と結果で完璧に結びつける!
- 日周運動(1日で1周)の原因は → 地球の自転(1日で1回転)
- 年周運動(1年で1周)の原因は → 地球の公転(1年で1周)
- 具体的な「角度」を覚える!
日周運動は「1時間で15°」、年周運動は「1ヶ月で30°」。これを使った計算問題は頻出。 - 北の空の星の動きをマスターする!
北極星を中心に「反時計回り」に回転する、という事実は、方角や時刻を求める問題の最大のヒントになる。
チャレンジ問題
ある日の午後8時に、オリオン座が真南の空に見えた。1ヶ月後、オリオン座が真南に見えるのは、およそ何時ごろになるか、答えなさい。また、なぜそうなるのか、地球の運動と関連づけて説明しなさい。
こたえを見てみる
【答え】およそ午後6時ごろ
【考え方】
星座は、地球の公転による年周運動で、1ヶ月に30°ずつ、東から西へ動いて見える。いっぽう、地球の自転による日周運動では、天体は1時間に15°ずつ、同じく東から西へ動いて見える。
つまり、1ヶ月かけて星座が西へ30°動く分を、日周運動で「先回り」して見るためには、30° ÷ 15°/時 = 2時間、早い時刻に見ればよいことになる。したがって、午後8時の2時間前である、午後6時となる。