ちがくナビ

地学を学べば、世界が見える。

中3理科⑦:自然の恵みと災害

ちさまる この記事で学ぶこと

火山、地震、雨、川の流れ…。これまで学んできた地球の活動は、わたしたちに温泉や豊かな大地といった「恵み」をあたえてくれる一方で、ときには人の命をおびやかす「災害」となっておそいかかってくる。この単元では、自然現象の二面性を理解し、科学の知識を使って災害から命を守る「防災」について、深く考えていくよ。中学理科の、最後の授業だ。

自然の恵みと、その源

わたしたちの生活は、地球からもたらされる、さまざまな恵みの上に成り立っている。

恵みの裏側にある、災害のリスク

しかし、これらの恵みの源である自然現象は、ひとたびその規模が大きくなると、深刻な災害を引き起こす。恵みと災害は、いわば「表裏一体」の関係にあるんだ。

考え中のちさまる ちさまるといっしょに考えよう!

自然災害は、人間の力で止めることはできない。じゃあ、わたしたちは、ただ災害が起きるのを待っているしかないのかな…? 何か、わたしたちにできることはないんだろうか?

警告するコレクト コレクトの最終講義:科学的防災

その問いこそ、防災の出発点です。自然現象そのものを止めることはできなくとも、科学の知識を活用することで、その被害を最小限に食い止める(減災する)ことは、十分に可能です。

そのために、わたしたちはまず**「ハザードマップ」**を確認し、自分たちの住む土地に、どのような災害のリスク(危険性)がひそんでいるのかを「知る」必要があります。そして、気象庁などが発表する**「警報」や「注意報」**といった防災気象情報の意味を正しく理解し、危険がせまったときには、ためらわずに**「避難」**という、最も論理的な行動をとらなければなりません。

これまで君たちが学んできた、火山や地震、気象のメカニズムに関する知識。それら全てが、ハザードマップや警報の意味を深く理解し、自らの命を守る判断を下すための、最強の武器となるのです。これこそが、我々の理念である**「知災(知ることから始める防災)」**の核心です。

なるほど!と話すちさまる 中学理科で学んだ、防災にいきる知識
  • 大地のつくり:断層や火山がどこにあるかを知ることは、地震や噴火のリスクを知ることにつながる。
  • 天気の変化:低気圧や前線の動きを理解することは、大雨や台風の危険を予測することにつながる。
  • 天体の動き:地球という星が、広大な宇宙の中で、奇跡的なバランスの上に成り立っていることを知る。

理科を学ぶことは、防災を学ぶこと。そして、地球を大切に思う心を育むことなんだね。

チャレンジ問題:最後の問い

君の住む市町村が発行している「洪水ハザードマップ」と「地震ハザードマップ」を、インターネットや役場で調べてみよう。

問1:君の家や学校は、洪水によって浸水する可能性のある区域に入っているか。

問2:大きな地震が起きたとき、君の住む地域で最も注意すべき危険(建物の倒壊、液状化、津波など)は何か。

問3:これらの情報をもとに、災害がおきる前に、君や君の家族ができる「備え」には、どのようなことがあるか。3つあげてみよう。

こたえの例を見てみる

【備えの例】
① 地域の避難場所と、そこへ向かう安全な避難経路を、家族みんなで確認しておく。
② 非常用の持ち出し袋(水、食料、懐中電灯など)を準備し、すぐに持ち出せる場所に置いておく。
③ 大きな地震にそなえて、家のタンスや本棚などの家具を、壁に固定しておく。