中2理科①:気象の観測
この記事で学ぶこと
天気予報では「今日の天気は晴れ、南の風、気温は25℃でしょう」のように、いろいろな情報が伝えられるよね。これらはすべて「気象観測」によって得られたデータなんだ。この単元では、天気を科学的に記録するための基本的な要素(気温、湿度、気圧、風など)と、それらを観測するための道具の使い方や、その背景にある科学的な原理を学んでいくよ。
気象を観測する基本要素
天気を正確に記録するためには、感覚だけでなく、決まったルールにしたがって観測する必要がある。中学校で学ぶ、主な観測要素は以下の通りだ。
- 天気:空全体を10としたときの、雲の量(雲量)で決まる。雲量が0~1なら「快晴」、2~8なら「晴れ」、9~10なら「くもり」。雨や雪が降っていれば、それぞれ「雨」「雪」となる。
- 風向・風力:風向は、風が「吹いてくる」方角を16方位で表す(例:北西の風)。風力は、目に見えるまわりの様子から、風の強さを0~12の13階級で表す(風力階級)。
- 気温・湿度:気温は、百葉箱など、直射日光が当たらず風通しの良い場所で、地上から1.5mの高さをはかる。湿度は、空気のしめり具合を%で表し、「乾湿計」を使って測定する。
- 気圧:空気が地面をおす力のこと。単位は「hPa(ヘクトパスカル)」を使い、「アネロイド気圧計」などで測定する。
ちさまるといっしょに考えよう!
湿度をはかる「乾湿計」って、ふつうの温度計(乾球)と、先がぬれたガーゼでおおわれた温度計(湿球)の2本でできているんだよね。どうして温度計が2本あるだけで、空気のしめり具合がわかるんだろう?
コレクトの論理 de 解説:乾湿計の原理
その疑問を解く鍵は、「蒸発」にあります。水が蒸発するとき、まわりから熱をうばいます(気化熱)。注射の前にアルコールで肌をふくと、ヒヤッとするのと同じ原理です。
湿球のガーゼに含まれた水も、常に蒸発しています。空気が乾燥しているほど(湿度が低いほど)、水はさかんに蒸発し、湿球からたくさんの熱をうばうため、湿球が示す温度は大きく下がります。逆に、空気がしめっていると(湿度が高いと)、水はあまり蒸発できず、湿球の温度はあまり下がりません。
つまり、乾球と湿球の温度の差が大きいほど、空気は乾燥している(湿度が低い)と、論理的に判断できるのです。この温度差と、乾球の気温を「湿度表」にあてはめることで、正確な湿度を求めることができます。
コレクトの発展ラボ:気圧と天気の関係
気圧は、天気と非常に深い関係があります。一般的に、まわりより気圧が高い場所を「高気圧」、低い場所を「低気圧」とよびます。
- 高気圧:上空から空気が降りてくる場所。雲ができにくいため、天気が良くなることが多い。
- 低気圧:地上の空気が上空へ昇っていく場所。空気が昇ると雲が発生しやすいため、天気が悪くなることが多い。
天気予報で「高気圧におおわれて、全国的に晴れるでしょう」と言うのは、この原理に基づいています。気圧の変化を観測することは、未来の天気を予測するための、最も基本的なステップなのです。
受験対策まとめ
気象観測は、テストで作図問題や計算問題が出やすい重要単元だ!
- 各観測要素の「単位」と「観測器具」を正確に覚える。
(例:気圧→hPa→アネロイド気圧計) - 乾湿計の原理と、湿度表の読み方をマスターする。
「乾球と湿球の差が大きいほど、湿度は低い」という原理は頻出。湿度表を使った計算問題は必ず練習しておこう。 - 風向・風力を天気記号で書けるようにする。
風向の矢羽の向き(風が吹いてくる方角を指す)と、風力を示す羽の数(多いほど強い)のルールを覚えよう。
チャレンジ問題
ある場所で乾湿計を使って気温と湿度を観測したところ、乾球の温度計は22℃を、湿球の温度計は19℃を示していた。下の湿度表を使って、この場所の湿度を求めなさい。
(※ここに、一般的な乾湿計用の湿度表の画像、あるいはHTMLのテーブルが入る想定)
こたえを見てみる
【考え方】
① まず、乾球と湿球の温度の差を計算する。
22℃ - 19℃ = 3℃
② 次に、湿度表のたての列で「乾球の温度(22℃)」の行を探す。
③ そして、湿度表の横の列で「乾球と湿球の差(3℃)」の列を探す。
④ ②の行と③の列が交差するところの数字を読みとる。
【こたえ】72% (※湿度表によって若干数値は変わります)