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中2理科③:前線の通過と天気の変化

ちさまる この記事で学ぶこと

「今日はあたたかいなあ」と思っていたら、急に強い雨がふって、そのあと寒くなった…なんて経験はないかな? そんな劇的な天気変化の多くは、「前線」というものが通過することによって引き起こされるんだ。この単元では、性質のちがう空気のかたまりが出会う場所、「前線」の種類と、それが通過するときの天気の変化のパターンを、論理的に解き明かしていくよ。

前線とは何か?:気団の出会い

空気は、広い範囲にわたって、気温やしめりけなどの性質がほぼ一様なかたまりとして存在している。これを気団きだんという。例えば、日本の夏におおわれる、あたたかくしめった空気のかたまり(小笠原気団)や、冬におおわれる、冷たくかわいた空気のかたまり(シベリア気団)がそうだ。

そして、この性質のちがう、あたたかい気団(暖気だんき)と、冷たい気団(寒気かんき)が出会うと、水と油のようにすぐには混じりあわず、その間に境界面ができる。この境界面が、地面と接する線のことを「前線」というんだ。

寒冷前線:寒気が暖気を押し上げる

冷たい寒気が、あたたかい暖気の下にもぐりこむようにして、暖気を急な角度で押し上げながら進む前線を寒冷前線かんれいぜんせんという。押し上げられた暖気は、せまい範囲で急激に上昇するため、背の高い積乱雲せきらんうんが発達する。

温暖前線:暖気が寒気の上をはい上がる

あたたかい暖気が、冷たい寒気の上に、ゆるやかな角度ではい上がるようにして進む前線を温暖前線おんだんぜんせんという。暖気は、広い範囲でゆるやかに上昇するため、空をおおうような乱層雲らんそううんなどの層状の雲ができる。

分析中のコレクト コレクトの論理 de 解説

寒冷前線と温暖前線で雲のでき方や雨の降り方が異なるのは、空気の上昇の仕方がちがうからです。あたたかい空気は軽く、冷たい空気は重いという基本原理を思い出してください。

寒冷前線では、重い寒気がブルドーザーのように軽い暖気を急角度で押し上げるため、上昇気流が強くなり、垂直に発達する積乱雲ができます。一方、温暖前線では、軽い暖気が重い寒気の上に自分からゆるやかにのぼっていくため、上昇気流が弱く、水平に広がる層状の雲ができるのです。

なるほど!と話すちさまる 受験対策まとめ

前線は、天気図の読解問題として必ず出題される超重要テーマだ!

  1. 寒冷前線と温暖前線の断面図を完璧に理解する!
    どちらがどちらを押し上げているのか、雲のでき方(せまい・広い)、前線の傾き(急・ゆるやか)を図で描けるようにしよう。
  2. 通過前・通過中・通過後の変化をセットで覚える!
    特に「気温」と「風向」の変化は、どちらの前線が通過したのかを判断する最大のヒントになる。(寒冷前線通過後→気温が下がり、北よりの風に。温暖前線通過後→気温が上がり、南よりの風に。)
  3. 前線の記号と進む向きを覚える!
    寒冷前線は青いとげとげ(▲)、温暖前線は赤い半円(●)。記号が向いている方向に前線は進む。

チャレンジ問題

ある日の午後、急に空が暗くなって激しい雨が降り、雷も鳴った。雨は1時間ほどでやんだが、そのあと、急に気温が下がり、風も冷たく感じるようになった。

この日、この場所を通過した可能性が最も高い前線は何か。また、なぜそのように考えたのか、「雨の降り方」と「気温の変化」の2つの点にふれて説明しなさい。

こたえを見てみる

【通過した前線】寒冷前線

【理由】
① 雨の降り方:「激しい雨」「雷」といった特徴は、積乱雲が発達することによって起きる、寒冷前線通過時の典型的な天気だから。
② 気温の変化:前線が通過したあと、「急に気温が下がった」という記述は、あたたかい暖気が冷たい寒気に入れかわったことを示しており、寒冷前線の特徴と一致するから。