中2理科②:霧や雲の発生
この記事で学ぶこと
空にうかぶ、ふわふわの雲。そして、朝もやの正体である霧。これらは、いったい何でできていて、どうやって生まれるんだろう? この単元では、空気中にふくまれる目に見えない「水蒸気」が、目に見える「水や氷のつぶ」に大変身する、魔法のようなしくみを、実験と論理で解き明かしていくよ!
空気中の水蒸気:飽和水蒸気量と露点
空気は、目には見えないけれど、水蒸気という形で水分をふくむことができる。しかし、コップに水が無限に入らないのと同じで、空気がふくむことのできる水蒸気の量には、限界がある。この、**1立方メートルの空気がふくむことのできる、最大の水蒸気量**のことを「飽和水蒸気量」という。
そして、この飽和水蒸気量は、**気温が高いほど大きく、気温が低いほど小さくなる**という、非常に重要な性質を持っている。あたたかい空気はたくさんの水蒸気を含むことができる「大きなコップ」、冷たい空気は少ししか水蒸気を含めない「小さなコップ」だとイメージしよう。
ちさまるといっしょに考えよう!
もし、水蒸気をたくさんふくんだ、あたたかい空気が、急に冷やされたらどうなるんだろう? 大きなコップ(あたたかい空気)に入っていた水(水蒸気)が、小さなコップ(冷たい空気)に入れかえられたら…?
その通り! コップから水があふれてしまうように、空気も、ふくみきれなくなった水蒸気を、目に見える**「水のつぶ」**として追い出すんだ。この現象を「凝結」という。そして、この凝結がはじまる温度のことを「露点」とよぶ。冷たいジュースを入れたコップのまわりに水滴がつくのは、コップのまわりの空気が冷やされて、露点よりも温度が下がり、空気中の水蒸気が凝結した結果なんだ。
雲のできかた:空気のかたまりの上昇
雲の正体は、この「凝結」によって生まれた、無数の小さな水や氷のつぶの集まりだ。では、空の上で、どうやって空気は冷やされるんだろう? その最大の原因が、**「空気のかたまりが、上空へとのぼること(上昇気流)」**なんだ。
コレクトの論理 de 解説
地上と上空では、気圧が異なります。上空へ行くほど、自分をおさえつける空気の重さ(気圧)は小さくなります。空気のかたまりが上昇すると、まわりからおさえつける力が弱まるため、空気のかたまりは風船のようにふくらみます(膨張)。
そして、空気は膨張するときに、熱を消費します。そのため、上昇した空気のかたまりは、温度が下がるのです。やがて、その空気の温度が露点まで下がると、中の水蒸気が凝結を始め、雲のつぶが生まれます。これが、雲の発生する、物理的なメカニズムです。
やってみよう! ペットボトルで雲作り!
- 丸い炭酸飲料用のペットボトルに、少量の水(またはぬるま湯)を入れてよくふる。
- 線香のけむりを少しだけ入れて、すぐにキャップをしめる。(けむりの粒が、水蒸気が集まる核になります)
- ペットボトルを、両手で強く、へこむくらいおさえて、すぐにパッと手をはなす!
手をはなした瞬間、ペットボトルの中の気圧が急に下がり、空気が膨張して冷やされる。すると、ペットボトルの中が一瞬で白くくもるはずだ。これが、きみの手で雲を作り出した瞬間だ!
受験対策まとめ
雲の発生は、計算問題と記述問題の両方で狙われる最重要単元だ!
- 飽和水蒸気量と露点の計算をマスターする!
飽和水蒸気量のグラフや表を読みとり、ある空気の露点や、冷やしたときに凝結する水蒸気の量を計算できるようにしよう。湿度の計算も頻出だ。(湿度(%) = 1㎥の空気に実際にふくまれる水蒸気量 ÷ その気温での飽和水蒸気量 × 100) - 雲のできかたを、4つのキーワードを使って説明できるようにする!
「上昇 → 膨張 → 温度が下がる → 露点に達して凝結」この論理的な流れは、記述問題で何度も問われる。ペットボトル実験と関連づけて、完璧に説明できるようにしておこう。
チャレンジ問題
気温30℃で、1㎥あたり17.3gの水蒸気をふくむ空気のかたまりがあります。下の飽和水蒸気量の表を使って、次の問いに答えなさい。
(※ここに、気温と飽和水蒸気量の関係を示した表が入る想定)
問1:この空気の湿度は何%ですか。(わり切れない場合は、小数第一位を四捨五入して整数で答えなさい)
問2:この空気を冷やしていくと、約何℃で水滴ができ始めますか。
問3:この空気を10℃まで冷やすと、1㎥あたり約何gの水滴が出てきますか。
こたえを見てみる
(※表の例:気温30℃→飽和水蒸気量30.4g/㎥、20℃→17.3g/㎥、10℃→9.4g/㎥ とする)
問1の答え:57%
【計算式】(17.3g ÷ 30.4g) × 100 ≒ 56.9... → 57%
問2の答え:約20℃
【考え方】この空気にふくまれている水蒸気量(17.3g/㎥)が、ちょうど飽和水蒸気量と等しくなる温度(露点)を表から探す。
問3の答え:約7.9g
【考え方】もともとふくまれていた水蒸気量(17.3g)から、10℃の空気のコップの大きさ(飽和水蒸気量 9.4g)を引くと、あふれ出た水の量が計算できる。
【計算式】17.3g - 9.4g = 7.9g