中2理科⑤:大気の動きと海洋の影響
この記事で学ぶこと
日本の天気を動かしている「風」。それは、日本だけの話じゃない。地球全体をおおう「大気」が、巨大なスケールで動いていることによって生まれているんだ。この単元では、地球規模での大気の動き(大気の大循環)と、日本の天気に大きな影響をあたえる海の巨大な流れ「海流」について学び、天気をより大きな視点からとらえ直すよ。
地球をめぐる風:大気の大循環
地球がもし自転していなければ、空気は赤道であたためられて上昇し、北極や南極で冷やされて下降する、単純な対流しか起きないはずだ。しかし、地球は自転している。この**地球の自転**によって、空気のまっすぐな流れは曲げられ(コリオリの力)、地球全体をめぐる、いくつかの決まった風の流れが生まれる。これが「大気の大循環」だ。
この中で、日本が位置する中緯度帯の上空を、一年を通して西から東へと吹いている非常に強い風が、これまでに何度も登場した**「偏西風」**だ。日本の天気が西から東へとうつり変わるのは、この偏西風が、高気圧や低気圧を運んでくるからなんだ。
ちさまるといっしょに考えよう!
「コリオリの力」ってなんだかむずかしいな…。地球が回っているだけで、どうして風の向きが曲がるんだろう?
コレクトの論理 de 解説
回転する円盤の中心から、外側に向かってまっすぐボールを投げたつもりでも、外から見ているとボールはカーブして進むように見えます。これは、ボールが飛んでいる間に、円盤自体が回転しているためです。地球もこれと同じです。北半球では、空気は進行方向に対して右向きに曲げられます。この見かけ上の力がコリオリの力です。この力によって、高気圧では時計回りに風が吹き出し、低気圧では反時計回りに風が吹き込むという、天気図で見られる風の渦が生まれるのです。
海の流れ「海流」と、その影響
大気の動きと同じように、海水も地球規模で循環している。この巨大な海の川の流れを「海流」という。日本の近くには、性質のちがう2つの大きな海流が流れていて、日本の気候に大きな影響をあたえている。
- 黒潮(日本海流):南のあたたかい海から、日本の太平洋側を北上してくる暖流。多くの熱と水蒸気を運んでくるため、沿岸の地域を温暖で湿潤な気候にする。
- 親潮(千島海流):北の冷たい海から、日本の太平洋側を南下してくる寒流。夏に、冷たい親潮の上に、あたたかく湿った空気が流れこむと、濃い霧(海霧)が発生することがある。
この黒潮と親潮がぶつかる東北地方の三陸沖は、世界有数の豊かな漁場となっている。
コレクトの発展ラボ:エルニーニョ現象
数年に一度、太平洋の赤道付近の広い範囲で、海面の水温が通常よりも高くなる現象が起こることがあります。これを「エルニーニョ現象」とよびます。海の温度が少し変わるだけですが、それによって大気の状態が大きく変化し、世界中で異常気象(冷夏、暖冬、豪雨、干ばつなど)を引き起こす原因となります。このことからも、大気と海洋が、互いに影響をおよぼしあう、一つの巨大なシステムであることがわかります。
受験対策まとめ
地球規模の視点は、応用問題で差がつくポイントだ!
- 偏西風の役割を説明できるようにする。
「日本の天気が西から東へ変わる理由」として、このキーワードは絶対に外せない。 - 黒潮と親潮の名前、性質(暖流か寒流か)、流れる場所を地図とセットで覚える。
日本の太平洋側に流れている2つの海流として、その影響(気候を温暖にする、霧が発生するなど)も理解しておこう。 - 「大気」と「海洋」が相互作用していることを理解する。
海流が気候に影響をあたえ、大気の動き(風)が海流を生み出す原動力にもなっている。この大きなつながりを意識することが、地学的な思考力をきたえる上で重要だ。