中2地学⑤:大気の動きと海洋の影響
🌍 大気はどうして動くのか?
大気(空気)は、温度のちがいや地球の自転(コリオリの力)によって動いています。空気は暖かくなると軽くなって上昇し、冷たくなると重くなって下降します。この上下の動きが、大きな風の流れを生み出しています。
- 地球上では、赤道のまわりは太陽の光を多く受けて暖かい
- 北極や南極のまわりは寒い
- このため、赤道付近では空気が上昇し、極地方では下降
この上下の流れに地球の自転の影響が加わって、大きな風の帯(大気の循環)がつくられます。*発展:大気の大循環(高校地学基礎)
🌀 大気の大きな流れ(三つの風の帯)
地球の表面では、おおまかに以下のような風の帯が形成されています。
地域 | 主な風 | 風の向き | 影響 |
---|---|---|---|
赤道付近(低緯度) | 貿易風 | 東から西 | 熱帯低気圧(台風)の流れを作る |
中緯度(日本付近) | 偏西風 | 西から東 | 低気圧や前線が西から東に移動する |
高緯度(極地方) | 極偏東風 | 東から西 | 北極や南極に冷たい空気を運ぶ |
📌 日本は中緯度帯にあるので、偏西風の影響で低気圧や前線が西から東に進みやすいのが特徴です。
🌊 海洋の影響 〜 海の流れも天気に関係している!
海には海流(海水の流れ)があります。特に日本周辺では、次の2つが重要です。
(1)黒潮(日本海流)🟦
- 暖かい海流(暖流)
- 赤道近くから北上する
- 太平洋側の気温を上げる
- 多くの水蒸気を空気中に供給 → 雲ができやすく、雨が降りやすい
📌 夏の蒸し暑さや台風のエネルギー源になる
(2)親潮(千島海流)🟩
- 冷たい海流(寒流)
- 北のオホーツク海から南下する
- 北海道や東北地方の太平洋側に冷たい空気を運ぶ
- 空気中の水蒸気が冷やされて濃い霧(海霧)を発生させることがある
🌦️ 大気と海洋が合わさるとどうなる?
大気と海洋の動きはおたがいに影響し合っています。たとえば:
🔄 エルニーニョ現象・ラニーニャ現象(※発展)
- 太平洋の赤道付近の海水温がふだんより高くなる → エルニーニョ
- 海水温が低くなる → ラニーニャ
- どちらも日本の天気に影響を与える
現象 | 海水温 | 日本への主な影響 |
---|---|---|
エルニーニョ | 上昇 | 冬が暖かくなりやすい・夏は冷夏傾向 |
ラニーニャ | 下降 | 冬は寒くなりやすい・夏は猛暑傾向 |
🏝️ 季節風とモンスーン
日本では、季節によって風向きが変わる「季節風(モンスーン)」も重要です。
冬の季節風:
- シベリア気団(冷たく乾いた空気)からの北西風
- 日本海を通る間に湿気を含み、日本海側に雪を降らせる
夏の季節風:
- 太平洋高気圧(小笠原気団)からの南東風
- 暖かく湿った空気が流れこみ、蒸し暑い天気や大雨をもたらす
🧭 天気の変化を予測する力をつけよう!
天気は、気団、大気の動き、海流、季節風など、さまざまな自然のしくみによって決まっています。
天気図や衛星画像、気象レーダーの情報を見れば、こうした動きを読み取ることができます。
気象情報を日々観察し、天気の特徴や原因を知ることで、防災や生活に役立てることができるのです。
✅ まとめ
内容 | ポイント |
---|---|
大気の動き | 太陽の熱と地球の自転によって、空気は上昇・下降・水平方向に動く |
主な風 | 貿易風・偏西風・極偏東風。日本は偏西風の影響で天気が変わりやすい |
海洋の影響 | 黒潮(暖流)は温かく湿った空気、親潮(寒流)は冷たい空気と霧 |
季節風 | 冬は北西風で雪、夏は南東風で暑くなる |
異常気象 | エルニーニョやラニーニャも日本の天気に影響 |