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地学を学べば、世界が見える。

中1理科③:地層の重なりと過去の様子

ちさまる この記事で学ぶこと

小学校で学んだ、地面の下に広がる「地層」と、過去の証人である「化石」。中学校では、これらの知識を総動員して、地層のしま模様から、過去の地球に何が起きたのかを読みとる「名探偵」になるための技術を学ぶよ。地層に残されたわずかな手がかりから、壮大な地球の歴史を推理する、科学的探究の始まりだ!

地層から過去の環境を読みとる

地層は、れき・砂・泥といった、大きさのちがう粒でできている。この「粒の大きさ」が、その地層が積もった当時の環境を教えてくれる、重要なヒントになるんだ。

分析中のコレクト コレクトの論理 de 解説

原理は、5年生で学んだ「流れる水の働き」と同じです。水の流れが速い場所(例:岸に近い場所)では、エネルギーが大きいため、泥や砂のような軽いものは運ばれてしまい、れきのような大きくて重い粒だけが堆積します。逆に、流れがおだやかな場所(例:岸から遠い沖合)では、エネルギーが小さいため、ようやく泥のような細かい粒が沈むことができます。

  • れきの層 → 当時、岸に近い、流れの速い場所だったと推測できる。
  • 砂の層 → 当時、れきの層よりは少し岸から遠い場所だったと推測できる。
  • 泥の層 → 当時、岸から遠く離れた、流れのおだやかな沖合だったと推測できる。

地層の重なりが語る、海の変動

地層が、下から「れき→砂→泥」の順番で重なっているがけを見つけたとしよう。これは、わたしたちに何を語りかけているんだろう?

考え中のちさまる ちさまるといっしょに考えよう!

下の層ほど古いんだから、昔は「れき」が積もる岸に近い場所だったのが、だんだん「砂」が積もる場所になり、最後は「泥」が積もる沖合になった…ってことかな? つまり、この場所の海水面が、だんだん上がっていったってこと…?

その通り! それこそが、地層を読みとく「推理」だ。地層の粒の大きさが、下から上へ向かってだんだん細かくなっている場合、その場所の海水面が相対的に上昇した(海進)か、あるいは土地そのものが沈んでいった(沈降)と考えられるんだ。逆に、下から「泥→砂→れき」と、粒がだんだん大きくなっている場合は、海水面が下がった(海退)か、土地がもち上がった(隆起)と推測できる。地層の重なりは、過去の海岸線の動きを記録した、壮大な物語なんだ。

化石が教える、時代と環境

地層の推理を、さらに強力にサポートしてくれるのが「化石」だ。小学校でも学んだ、2種類の特別な化石の役割を、ここで再確認しよう。

例えば、ある地層から「サンゴ」と「アンモナイト」の化石が同時に見つかれば、「この場所は、中生代の、あたたかくきれいな浅い海だった」と、時代と環境の両方を、きわめて正確に特定することができる。

豆知識を話すコレクト コレクトの発展ラボ:地質年代

示準化石の活躍により、地球の歴史は、大きく「古生代」「中生代」「新生代」といった時代に区分されています。これを地質年代とよびます。三葉虫が栄えたのが古生代、恐竜やアンモナイトが栄えたのが中生代、そして、ほ乳類や、我々人類が登場したのが新生代です。地層は、まさに地球の歴史書そのものなのです。

なるほど!と話すちさまる 受験対策まとめ

地層の読みとりは、テストの応用問題で頻出だ!

  1. 粒の大きさと環境の関係を完璧にする!
    「れき=岸に近い」「泥=沖合」という基本原則を、なぜそうなるのかという理由(流れの速さ)とセットで理解しよう。
  2. 地層の重なりから、海の動きを推理できるようにする!
    下から「れき→砂→泥」なら海が進んできた証拠。「泥→砂→れき」なら海が退いた証拠。
  3. 示相化石と示準化石の役割を区別する!
    「相」は環境の様相、「準」は時代の基準、と漢字の意味で覚えると忘れない。代表的な化石の名前と、その役割をセットで覚えよう。

チャレンジ問題

あるがけで、A層~C層の3つの地層が、下から順番に重なっているのを発見した。
・A層(いちばん下):アンモナイトの化石をふくむ、泥の層。
・B層:化石は見つからなかったが、砂の層。
・C層(いちばん上):シジミの化石をふくむ、れきの層。
この場所の環境は、A層が積もった時代から、C層が積もった時代にかけて、どのように変化したと考えられるか。具体的に説明しなさい。

こたえを見てみる

【答え】
A層が積もった中生代当時は、アンモナイトが生息する、岸から遠いおだやかな沖合だった。その後、B層(砂)、C層(れき)と、上に行くほど粒が大きくなっていることから、海水面が下がるか、土地が隆起して、だんだんと岸に近い環境へと変化していった。そして、C層が積もるころには、シジミが生息するような、河口に近い場所になっていたと考えられる。