ちがくナビ

地学を学べば、世界が見える。

中1理科②:地震の伝わり方と地球内部の働き

ちさまる この記事で学ぶこと

大地をゆるがす巨大な力、「地震」。この単元では、地震のゆれがどのようにして生まれ、どのように地面を伝わっていくのかを科学的に解き明かすよ。そして、地震の波を分析することで、わたしたちが直接見ることができない、地球の内部構造まで探ることができるんだ。ミクロのゆれから、地球の中心までを探る、壮大な旅に出かけよう!

地震の波:P波とS波

地震が発生すると、そのエネルギーは「波」として四方八方に伝わっていく。この波には、性質のちがう2つのメインキャラクターが登場する。それが「P波」と「S波」だ。

地震が起きたとき、最初にカタカタと小さなゆれが来て、その数秒後にぐらぐらと大きなゆれが来るのは、この2つの波の到着時間の差によるものなんだ。

初期微動と主要動

このP波とS波の到着によって引き起こされるゆれには、それぞれ名前がついている。

P波が到着してから、S波が到着するまでの時間の長さを初期微動継続時間しょきびどうけいぞくじかんという。この時間が、地震の謎を解く、とても重要なカギになるんだ。

考え中のちさまる ちさまるといっしょに考えよう!

震源(地震が発生した場所)から遠い場所ほど、最初にカタカタとゆれてから、ぐらぐらと大きなゆれが来るまでの時間が長くなるような気がするんだけど…気のせいかな?

分析中のコレクト コレクトの論理 de 解説

その通りです。P波とS波は、新幹線「のぞみ」と「こだま」のように、速さが異なります。スタート地点(震源)から離れれば離れるほど、速い「のぞみ」(P波)と、少し遅い「こだま」(S波)の到着時間の差は、どんどん開いていきますね。つまり、初期微動継続時間しょきびどうけいぞくじかんが長いほど、震源からの距離が遠いという、極めて論理的な関係が成り立つのです。

震源と震央

地震を語る上で、似ているけれど意味がちがう、2つの重要な場所を示す言葉がある。

ニュースで「震源地」と言われるのは、この「震央」のことだ。震源からの距離と、震央からの距離はちがうので、区別して考えよう。

豆知識を話すコレクト コレクトの発展ラボ:緊急地震速報のしくみ

テレビやスマホから流れる「緊急地震速報」は、このP波とS波の速さの違いを利用した、科学技術の結晶です。震源の近くの地震計が、まず速いP波をキャッチします。その瞬間に、「どこで」「どれくらいの規模の」地震が起きたかを瞬時に計算し、大きなゆれをもたらすS波が到着する数秒から数十秒前に、わたしたちに危険を知らせてくれるのです。このわずかな時間が、命を守るための行動をとる、決定的な差を生むのです。

なるほど!と話すちさまる 受験対策まとめ

地震の計算問題は、入試の超頻出テーマだ!

  1. P波とS波の特徴を完璧に区別する!
    速さ、ゆれの大きさ、縦波か横波か、初期微動か主要動か、を表にして整理しよう。
  2. 初期微動継続時間と距離の関係を理解する!
    「初期微動継続時間が長いほど、震源からの距離は遠い」という大原則は絶対に忘れずに。
  3. 距離の計算方法をマスターする!
    (初期微動継続時間)=(S波の到着時刻)-(P波の到着時刻)。そして、(震源からの距離)=(P波の速さ)×(P波の到着時刻)という関係を使って、計算問題が解けるように練習しよう。

チャレンジ問題

ある地点で地震を観測したところ、P波が午前10時15分20秒に、S波が午前10時15分30秒に到着した。この地点の初期微動継続時間は何秒か。

また、この地震のP波が伝わる速さを秒速8km、S波が伝わる速さを秒速4kmとすると、この地点から震源までの距離は何kmか、計算しなさい。

こたえを見てみる

問1の答え:10秒
(計算式:10時15分30秒 - 10時15分20秒 = 10秒)

問2の答え:80km
【考え方】震源から地点までの距離を X km、P波が到着するまでにかかった時間を t 秒とすると、以下の2つの式が成り立つ。
① X = 8 (km/s) × t (s) --- P波の式
② X = 4 (km/s) × (t + 10) (s) --- S波の式(P波より10秒多く時間がかかっている)
①と②の左辺は同じXなので、右辺も等しい。つまり、
8 × t = 4 × (t + 10)
8t = 4t + 40
4t = 40
t = 10 (秒)
P波が到着するのに10秒かかったことがわかる。これを①の式に入れると、
X = 8 × 10 = 80 (km)