🧬地学⑨:地殻と生命の変遷
🧭 単元の概要
この単元では、地球の歴史の中で地殻がどのように変化してきたか、そしてそれに伴って生命がどのように誕生・進化・絶滅してきたかを学びます。プレート運動、造山活動、大陸移動、火山活動といった地殻変動が、生命の進化や大量絶滅と密接に関わっていることを理解していきましょう。地球46億年の歴史の中で起こった生物の大進化や大量絶滅の時期・原因も押さえる必要があります。
🌍1. 地球の形成と初期環境
🔸地球の誕生(約46億年前)
- 宇宙の塵やガスが重力で集まり、微惑星が衝突・合体して地球が形成された。
- 当初の地球は高温で、マグマオーシャンに覆われていた。
- 重い元素(Fe, Ni)は沈み、軽い成分(Si, O, Alなど)が上昇 → 地球の分化(核・マントル・地殻の形成)。
🔸大気と海の誕生
- 火山活動によって原始大気(CO₂, H₂O, NH₃, CH₄など)が放出された。
- 水蒸気が冷やされて雨となり、原始の海が形成された(約43億年前)。
- CO₂は海に溶け、炭酸塩岩や原始生命に吸収 → 気温の安定へ
🐣2. 生命の誕生と進化の大まかな流れ
🔹生命の誕生(約38億年前)
- 最古の生命の痕跡はグリーンランドの堆積岩中の炭素同位体やオーストラリアのストロマトライト。
- 嫌気性の原核生物が、深海の熱水噴出孔などにいたと考えられている。
🔹光合成と酸素の蓄積(約27億年前)
- シアノバクテリア(藍藻類)が光合成を開始。
- 酸素が水中の鉄と結びつき、縞状鉄鉱層を形成(Fe²⁺ → Fe³⁺)。
- 酸素が大気中に蓄積 → 約20億年前から酸素の大気化が進む。
🔹多細胞生物の出現とカンブリア爆発(約5.4億年前)
- 原生代末に真核生物・多細胞生物が現れる。
- エディアカラ生物群:最初の大型生物の化石群(約6億年前)
- カンブリア紀に「カンブリア爆発」と呼ばれる動物の多様化現象が起きる。三葉虫・アノマロカリスなど。
🌋3. 地殻変動と生命の関係
🔸プレート運動と生物分布
- 大陸移動によって、生物の隔離や交雑が起こり、多様化につながる。
- パンゲア超大陸(約2.5億年前)は、のちに分裂して現在の大陸配置へ。
🔹造山活動と気候変動
- 大規模な造山運動(ヒマラヤ、アルプスなど)は気候や海流を変化させる。
- 気候変動は、進化の圧力や絶滅の原因にもなる。
💀4. 大量絶滅とその原因
地球史では5回の大量絶滅が知られている(ビッグ5)。特に重要なものを以下にまとめる。
時期 | 絶滅の規模 | 主な絶滅生物 | 原因とされる要因 |
---|---|---|---|
古生代末(P/T境界) | 約96%の海洋種が絶滅 | フズリナ、三葉虫 | シベリア洪水玄武岩、大気変化、酸素不足 |
中生代末(K/Pg境界) | 恐竜などの生物が絶滅(鳥類を除く) | アンモナイト、恐竜 | メキシコ・ユカタン半島の隕石衝突+火山活動 |
🔍これらの絶滅後、新たな生物群(哺乳類、被子植物など)が適応放散によって急速に進化した。
🧭5. 地殻と生命の「共進化」
地球の地殻と生命は、互いに影響を与えながら進化してきた。
- 光合成生物の登場 → 大気中に酸素 → オゾン層形成 → 陸上進出が可能に
- 生物による岩石の風化(例:コケ植物) → 地殻の成分変化
- 珊瑚や貝の活動 → 炭酸カルシウムの沈殿 → 石灰岩形成
こうした「地球システムとしての相互作用」を意識すると、地学の理解が深まる。
✅受験チェックポイント
📌 地球の形成と初期環境(大気・海)の流れを説明できるか
📌 生命の起源とストロマトライト、縞状鉄鉱層の意味を理解しているか
📌 カンブリア爆発とは何か、その意義は?を明確に説明できるか
📌 地殻変動(大陸移動・造山活動)と生物進化の関係を関連づけて答えられるか
📌 大量絶滅の具体例(特にP/T境界とK/Pg境界)とその原因を押さえているか
📌 地球システム(地殻と生命)の相互関係を説明できるか