🌍地学⑦:地表の変化と堆積
🔍単元の概要
この単元では、「地球の表面で起こるさまざまな地形の変化」と「それに伴う堆積作用」に注目します。風化・侵食・運搬・堆積といったプロセスがどのように地形を変え、地層や地質構造を形成するのかを学ぶことで、地球の歴史を読み解く手がかりとなります。また、地形と気候の関係、堆積物の種類や特徴も学習の中心です。
🪨1. 風化・侵食・運搬・堆積のサイクル
🧪風化とは?
風化とは、岩石が物理的・化学的・生物的作用によって分解・変質していく現象のことです。風化には以下の3種類があります:
- 物理風化(機械的風化):気温の変化、凍結、乾湿の繰り返しで岩石が割れる。
- 例:高山地帯での凍結による岩石の破砕(凍結破砕)。
- 化学風化:水や空気と反応し、鉱物が化学的に変化する。
- 例:花崗岩中の長石が風化して粘土鉱物に。
- 生物風化:植物の根の成長や微生物の働きによる風化。
🌊侵食・運搬・堆積
風化によって生じた物質(砕屑物)は、流水・風・氷河・重力などの働きによって運搬・侵食・堆積されます。
- 侵食(erosion):運搬力を持つ流体(河川、風、氷河など)が地表を削る作用。
- 運搬(transportation):砕屑物が移動する過程。
- 堆積(deposition):運搬された物質が運搬力の減少により地表に積もること。
この一連のプロセスが、地形形成の根本的なメカニズムとなります。
🏞2. 地形とその形成過程
🏔河川による地形
- 上流域:V字谷、滝(例:那智の滝)
- 中流域:扇状地、河岸段丘
- 下流域:三角州(デルタ)、自然堤防、後背湿地
特に日本では、急峻な地形が多いため、上流から下流への地形変化が短距離で見られるのが特徴です。
💨風による地形
- 砂丘(dune):風によって運ばれた砂が堆積して形成。
- 例:鳥取砂丘
- デフレーション地形:風が細粒物質を吹き飛ばして凹地ができる。
🧊氷河による地形
- U字谷:氷河が谷を削ってできた幅の広い谷。
- モレーン:氷河によって運ばれた岩屑が堆積したもの。
🧱3. 堆積物と堆積岩
🪨堆積物の種類と粒径
種類 | 粒径の目安 | 例 |
---|---|---|
礫(れき) | 2mm以上 | 河原の石など |
砂(すな) | 0.063〜2mm | 砂浜の砂など |
シルト | 0.004〜0.063mm | 池底、湖底の堆積物など |
粘土(ねんど) | 0.004mm未満 | 粘土質の土壌など |
⛰堆積岩の分類と形成
堆積物が長い時間をかけて圧縮・固結すると堆積岩になります。主なものは以下の通り:
堆積岩 | 主成分 | 例 |
---|---|---|
礫岩 | 礫 | 河川堆積物 |
砂岩 | 砂 | 砂浜、河川中流域 |
泥岩 | シルト・粘土 | 湖底、深海底など |
石灰岩 | 炭酸カルシウム | サンゴ礁、石灰質プランクトン |
チャート | 二酸化ケイ素 | 放散虫や珪藻の殻 |
石炭 | 植物遺体 | 古代の湿地の植物由来 |
⛏4. 層理・クロスラミナ・化石など
📏層理とクロスラミナ
- 層理(bedding):堆積岩に見られる平行な層構造。堆積環境の変化を示す。
- クロスラミナ(斜交葉理):斜めに交差する細かい層。風や水の流れの方向を示す。
🐚化石と生痕
- 示準化石:特定の時代にのみ存在。地層の年代決定に使用。
- 例:フズリナ(三畳紀)、アンモナイト(中生代)
- 示相化石:特定の環境にのみ存在。堆積環境の推定に使用。
- 例:サンゴ(温暖・浅海)、ホタテガイ(浅海)
📚5. 地形と気候の関係
- 乾燥地帯:風による侵食や砂漠化が進行。例:サハラ砂漠。
- 湿潤地帯:河川活動が活発で、三角州や自然堤防が発達。
- 寒冷地帯:氷河地形が発達し、地表変化のサイクルが遅い。
気候の違いは風化・侵食速度、運搬力、堆積の性質に影響を与えるため、地域の地形や地質と密接に関わっています。
✅受験チェックポイント!
1. 風化の3種類(物理・化学・生物)と具体例を区別して説明できるか?
2. 侵食・運搬・堆積の違いを明確に言えるか?
3. 堆積物の粒径分類と堆積岩の関係を覚えているか?
4. 代表的な堆積岩の成因と見られる場所を説明できるか?
5. 層理やクロスラミナの意味、示準化石・示相化石の違いを把握しているか?
6. 河川地形の変化(上流〜下流)を地図や断面図で説明できるか?
7. 気候帯ごとの特徴的な地形が理解できているか?
これらの現象は、地球が今も「生きている」ことを示す重要な証拠です。