🌋地学⑤:火山と火成活動
🧭 単元の概要
この単元では、地球内部から供給されるマグマが、どのようにして火山や火成岩を形成し、どのような地形や現象を生み出しているのかを学習します。火山の種類、噴火様式、マグマの性質、そして火成岩の分類や形成環境など、多岐にわたる内容を扱います。また、日本列島に見られる火山活動やプレートの動きとの関係についても理解を深めていきましょう。
🔥1. 火山とは何か
🔹火山の定義
火山とは、地下から上昇してきたマグマが地表に到達・噴出し、それによって地形や地質構造を形成する場所を指す。噴火により溶岩や火山砕屑物(かざんさいせつぶつ)が堆積し、火山体が形成される。
🌡️2. マグマの発生と性質
🔸マグマの発生場所
マグマは、主に以下のようなプレート境界で発生する。
発生場所 | 例 | マグマの特徴 |
---|---|---|
海嶺(拡大境界) | アイスランド | 玄武岩質、粘性小、流動性高 |
島弧(沈み込み帯) | 日本列島 | 安山岩質、粘性中 |
ホットスポット | ハワイ | 玄武岩質、粘性小 |
大陸衝突帯 | チベット高原 | デイサイト〜流紋岩質、粘性大 |
🔸マグマの化学組成と性質
種類 | 主成分 | SiO₂含有量 | 粘性 | 噴火の激しさ |
---|---|---|---|---|
玄武岩質 | Mg, Feに富む | 約50% | 小 | 穏やか(溶岩流) |
安山岩質 | 中間 | 約60% | 中 | 中程度 |
流紋岩質 | Si, Na, Kに富む | 約70%以上 | 大 | 激しい(爆発的) |
粘性が高くなるほど、火山ガスがマグマ内に閉じ込められやすくなり、爆発的な噴火につながる。
🗻3. 火山の種類と噴火様式
🔹火山の形状による分類
火山の種類 | 特徴 | 例 |
---|---|---|
成層火山 | 溶岩と火山砕屑物が交互に堆積 | 富士山、桜島 |
溶岩ドーム | 粘性の高いマグマが山頂に溜まる | 昭和新山、雲仙普賢岳 |
楯状火山 | 粘性の低いマグマが広がって形成 | マウナロア(ハワイ) |
火砕丘 | 火山砕屑物の噴出によって形成 | パリクチン(メキシコ) |
カルデラ | 噴火後、山体が陥没して形成 | 阿蘇山、十和田湖 |
🔸噴火様式
噴火様式 | 特徴 | 例 |
---|---|---|
ハワイ式 | 溶岩が噴水のように出る | キラウエア火山 |
ストロンボリ式 | 間欠的な爆発的噴火 | ストロンボリ火山 |
ブルカノ式 | 大きな爆音と共に噴火 | ベスビオ火山 |
プリニー式 | 噴煙柱が成層圏に達する | ピナトゥボ山、雲仙普賢岳 |
ペレ―式 | 火砕流を伴う大規模噴火 | モン・ペレ火山 |
🪨4. 火成岩とその分類
火成岩は、マグマが冷えて固まった岩石。深成岩と火山岩に分類される。
🔹冷却速度による分類
種類 | 冷却の場所 | 結晶の大きさ | 例 |
---|---|---|---|
深成岩 | 地下深く | 粗粒(大きい) | 花崗岩、閃緑岩、斑れい岩 |
火山岩 | 地表や浅所 | 斑状組織(大小の結晶) | 流紋岩、安山岩、玄武岩 |
🔸代表的な火成岩と鉱物組成
火成岩 | 主な鉱物 | 色 | マグマの種類 |
---|---|---|---|
花崗岩 | 石英、長石、黒雲母 | 明るい | 流紋岩質 |
閃緑岩 | 長石、角閃石 | 中間 | 安山岩質 |
斑れい岩 | 輝石、かんらん石 | 暗い | 玄武岩質 |
🧪5. 火山活動がもたらす現象
🔹火山災害の例
- 火砕流:高温のガスと火山灰の混合流(例:雲仙普賢岳)
- 火山泥流(ラハール):降雨や雪解け水が火山灰と混ざる
- 火山ガス中毒:有毒な二酸化硫黄や硫化水素
- 降灰によるインフラ被害:飛行機・農業・交通網に影響
🔸火山の恩恵
- 地熱発電(例:八丁原発電所・大分)
- 観光資源(温泉、火山地形)
- 鉱物資源(硫黄・鉱石など)
🔍6. 日本の火山活動とプレートテクトニクス
日本は環太平洋造山帯(火山帯)に属し、4つのプレート(ユーラシア・北米・太平洋・フィリピン海)が集まる場所。これにより、多くの火山が分布しており、火山フロントと呼ばれる分布帯が形成されている。
※ユーラシアプレートは厳密には"アムールプレート"
✅受験チェックポイント
📌 マグマのSiO₂含有量と粘性の関係を明確に説明できるか
📌 火山の形態の違いを例とともに説明できるか
📌 火成岩の分類と対応するマグマの性質を整理しているか
📌 日本における火山分布とプレート境界の関係を地図で理解しているか
📌 火山の噴火様式の違いと、それに関係するマグマの性質を結びつけて説明できるか
📌 火砕流・ラハール・火山ガスなどの災害例とそのメカニズムを把握しているか