🌍 地学④:地震と地殻変動
🔍 単元の概要
この単元では、地震の発生メカニズムやさまざまな地殻変動の種類と特徴について学習します。日本は世界でも有数の地震大国であり、地震や地殻変動の理解は非常に重要です。また、プレート運動や火山活動との関連性を含め、地球内部で何が起きているのかを探究する内容となっています。
📌 1. 地震とは何か
🌐 地震の定義
地震とは、地下の岩盤が破壊されて、地震波が発生し、地面が揺れる現象のこと。
この破壊は、岩盤に蓄積された応力(地殻変動による力)が限界に達して、一気に解放されることで起こります。
⚡ 地震の原因と種類
🔷 発生原因の分類
1. プレート境界型地震
例:東北地方太平洋沖地震(2011年)*日本海溝
→ 海洋プレートが沈み込むことで発生。
2. 内陸直下型地震(活断層型)
例:兵庫県南部地震(1995年)*野島断層(六甲・淡路島断層帯の一部)
→ 地下に存在する活断層のずれで発生。
3. 火山性地震
→ 例:伊豆半島東方沖地震(1980年)
→ 火山活動に伴って起こる。マグマの移動などによって発生。
4. 人工地震
→ 核実験など、人間の活動によって発生することもある。
→ ただし、現実的に大規模のものは起こらない。
🔎 2. 地震波の種類と伝わり方
🌊 地震波とは?
地震が発生すると、エネルギーは地震波という形で地表に伝わります。主に2種類に分けられます。
地震波の種類 | 特徴 | 伝播速度 | 影響 |
---|---|---|---|
P波(Primary Wave) | 縦波。最初に到達。地面を押したり引いたりする。 | 速い(約6〜8km/s) | 揺れは小さい |
S波(Secondary Wave) | 横波。P波の後に到達。上下・左右に揺れる。 | 遅い(約3〜4km/s) | 揺れが大きく破壊力あり |
T波(Tertiary Wave) | 海底面で地震波が音波に変換される。海水中を伝播。 | 非常に遅い(約1.5km/s) | 遠方まで伝わる |
海底面で地震波が音波に変換される。海水中を伝播。
※S波は液体中を伝わらない(=外核を通れない)ため、地球内部の構造の理解にも使われる。
※発展にはなるが、地球の表面を伝わる表面波も存在する。固体と気体(または液体)の境界のみを伝わり、周期が長いうえ、振動幅も大きい。伝播機構の違いで、レイリー波・ラブ波の2種類が存在する。S波と同程度かやや遅い速度。
⏱️ 初期微動と主要動(P波とS波の時間差)
P波とS波の到着時間の差は初期微動継続時間(P-S時間)と呼ばれ、この時間から震源までの距離がわかる。
- 1秒の差 → 約8kmの距離に相当。
📉 3. 地震の規模と揺れの強さ
🔢 マグニチュード(M)
- 地震そのもののエネルギーの大きさを表す指標。
- 対数的なスケールで、1大きくなると約32(31.6)倍のエネルギー差。
※厳密には10√10倍。
📍 震度(Shindo)
- 観測地点ごとの揺れの強さを表す。
- 日本では気象庁震度階級(0~7の10段階)を使用。
震度階級 | 揺れの強さと影響 |
---|---|
震度0 | 人は揺れを感じない。 |
震度1 | 屋内の一部の人がわずかに揺れを感じる。 |
震度2 | 屋内の多くの人が揺れを感じる。眠っている人の一部が目を覚ます。 |
震度3 | 屋内のほとんどの人が揺れを感じる。恐怖を覚える人もいる。 |
震度4 | かなりの恐怖感があり、一部の人は身の安全を図ろうとする。 |
震度5弱 | 多くの人が身の安全を図ろうとする。家具が移動することがある。 |
震度5強 | 非常な恐怖を感じる。重い家具が倒れることがある。 |
震度6弱 | 立っていることが困難になる。建物の一部が破損する。 |
震度6強 | はわないと動くことができない。建物の多くが損壊する。 |
震度7 | 揺れにほんろうされ、自分の意思で行動できない。広範囲で甚大な被害。 |
🪨 4. 地殻変動とは?
🌋 地殻変動の定義
地殻変動とは、地球内部の力によって、地殻(地球の表層部)に変形や位置の移動が生じる現象のこと。
🗺️ 地殻変動の種類
種類 | 説明 | 例 |
---|---|---|
隆起 | 地面が上昇する | 日本海側の海岸線(新潟など) |
沈降 | 地面が沈む | フィリピン海プレートの沈み込み帯 |
水平移動(横ずれ) | 水平方向にズレる | 糸魚川-静岡構造線 |
断層 | 地層がズレる破壊面 | 活断層(兵庫県北部など) |
🪨 5. 活断層と地震
⚠️ 活断層とは?
- 最近(数十万年以内)に活動した形跡があり、将来も地震を引き起こす可能性がある断層。
- 活断層上では大地震が発生するリスクが高い。
💡 日本の代表的な活断層
- 中央構造線断層帯
- 糸魚川-静岡構造線
- 新潟-神戸歪集中帯
※糸魚川-静岡構造線断層帯の中北部は、30年以内の地震発生確率が14%~30%と、最も高い。
※活断層で発生した地震の例:平成28年熊本地震、平成7年兵庫県南部地震。
※次に発生するとされる首都直下型地震も断層型の可能性が高い(とされる)。
🧭 6. 地震予知と防災
📈 短期予知と長期予測
項目 | 内容 |
---|---|
短期予知 | 地震直前の地殻変動や前兆現象の観測(現代では困難) |
長期予測 | 活断層の調査・過去の地震データに基づいて評価 |
※よって、地震予知はすべてデマである(=科学的根拠なし)!
🛠️ 地震観測の技術
- 地震計(強震計・微動計)
- GNSS(全球測位衛星システム)による地殻変動観測
- 海底地震計(OBS)
- Hi-net(高感度地震観測網) →NIED(防災科学技術研究所)
🎓 受験に向けたチェックポイント ✅
✅ 地震波の種類と特徴(P波とS波)を区別できるか?
✅ マグニチュードと震度の違いを理解しているか?
✅ 初期微動継続時間から震源までの距離を求められるか?
✅ 地殻変動の種類(隆起・沈降・横ずれなど)を説明できるか?
✅ 活断層とその代表例を覚えているか?
✅ 観測網(Hi-net、GNSS)など最新の技術も理解しているか?