🧪地学㉝:元素の分配
🎯この単元の目的
地球を構成する元素は均一に分布しているわけではありません。
マグマの分化や鉱物の結晶化によって、元素は選択的に分配されます。
この単元では、元素がどのような原理でどこに集まりやすいかを理解します。
🧱1. 元素の種類と特徴
🌍地球構成元素(主に質量比)
元素名 | 記号 | 主な存在場所 |
---|---|---|
酸素 | O | 岩石、鉱物中(SiO2など) |
ケイ素 | Si | 岩石中(SiO4など) |
アルミニウム | Al | 長石などの鉱物中 |
鉄 | Fe | コア・マントル中、磁鉄鉱など |
マグネシウム | Mg | 苦土質鉱物に多い |
カルシウム | Ca | 長石・方解石など |
ナトリウム | Na | 曹長石など |
カリウム | K | カリ長石など |
チタン | Ti | ルチル、イルメナイトなど |
🧩2. 元素の分配とは?
📖定義:
ある鉱物と周囲のマグマ(液体)との間で、元素がどれだけその鉱物に取り込まれるかの比率。
→ このときの濃度比を分配係数(D)で表す。
🔢分配係数 D の式:
\[D = \frac{C_{\text{固体}}}{C_{\text{液体}}}\]
- \(C_{\text{固体}}\):鉱物中の元素濃度
- \(C_{\text{液体}}\):マグマ中の元素濃度
🔍例:
- D > 1:その元素は鉱物に取り込まれやすい(親鉱物元素)
- D < 1:その元素はマグマに残りやすい(親液体元素)
🧪3. 典型的な分配例(地学でよく出る!)
元素 | Dの傾向 | 特徴例 |
---|---|---|
Sr(ストロンチウム) | D > 1 | カルシウムに似ていて斜長石に入りやすい |
Rb(ルビジウム) | D < 1 | カリウムに似ていて残留マグマに濃縮 |
Ni(ニッケル) | D > 1 | 橄欖石や輝石に取り込まれやすい(初期に結晶化) |
Zr(ジルコニウム) | D < 1 | 最後までマグマに残る → ジルコン形成へ |
🔄4. マグマ分化との関係
マグマが冷却していく過程で鉱物が結晶分化すると、元素は選択的に鉱物へ入る/入らないが決まる。
- 最初に結晶化する鉱物はMg・Feなどを多く含む
- 最終的に残るマグマはSiやK、軽い元素に富む
これにより、玄武岩→安山岩→流紋岩のように、異なる組成の火成岩が形成される。
🔬5. 地球化学的分類:親鉱物元素と親液体元素
⛏️親鉱物元素(compatible element)
→ D > 1
→ 早期に鉱物に入っていく
→ マントル起源の鉱物(かんらん石など)に多く含まれる
🌊親液体元素(incompatible element)
→ D < 1
→ マグマに残留して濃縮
→ 最終段階の火成岩に高濃度で現れる(例:流紋岩)
🔍6. 分配に影響する要因
要因 | 内容 |
---|---|
温度 | 高温だと一部元素は鉱物に入りにくくなる |
圧力 | 高圧で鉱物構造が変わり分配傾向も変化 |
鉱物の種類 | 結晶構造の違いで入りやすさが異なる |
元素のイオン半径・価数 | 鉱物内のイオンと類似したものが入りやすい |
✅受験チェックポイント
📌 分配係数 D の意味と計算式
📌 D > 1(親鉱物元素)と D < 1(親液体元素)の違い
📌 Rb、Sr、Ni、Zr の分配傾向(頻出)
📌 マグマ分化との関連性
📌 岩石の組成の違いと元素分配の関係(玄武岩〜流紋岩)