🌊地学㉜:アスペリティーとスロースリップ
🎯この単元の目的
日本列島周辺では、海洋プレートと大陸プレートの沈み込み境界で地震が発生しています。
本単元では、巨大地震の震源域での固着域(アスペリティー)と、ゆっくりした滑り(スロースリップ)の違いと関係を理解します。
🧱1. アスペリティー(asperity)とは?
🧭定義:
プレート境界で特に強く固着している領域のこと。
🔍特徴:
- 周囲より応力が集中しやすい
- 地震時に大きな滑りを生じる(震源の中心部に多い)
- 地震の繰り返し発生間隔や地震規模を左右する
- 地震後には余震の少ない“地震空白域”となることが多い
🗾例:東北地方太平洋沖地震(2011年)
- 宮城県沖のアスペリティーで最大滑りが発生(約50m)
- 複数のアスペリティーが連動してM9.0の巨大地震に
🐢2. スロースリップ(ゆっくり滑り現象)
🧭定義:
断層が滑るが、地震波をほとんど出さない、ゆっくりとした変位。
🕰️特徴:
- 数日~数か月かけて断層が動く(速度が非常に遅い)
- 地震計では検出困難だが、GPSや傾斜計で観測される
- 深さ20~40km付近でよく発生
- プレート境界の「準安定すべり領域」で見られる
🧩3. アスペリティーとスロースリップの関係
📉スロースリップがアスペリティーを刺激することがある!
- アスペリティーの周囲でスロースリップが進行すると、応力バランスが変化
- その結果、アスペリティーが破壊され、大地震が起きる可能性がある
- 実際に南海トラフではスロースリップと地震活動の連動性が注目されている
🧭領域ごとの違い:
領域 | 特徴 |
---|---|
アスペリティー | 強固に固着・急激なすべり |
周辺部 | ゆっくりすべり・小地震頻発 |
深部 | スロースリップの主な発生域 |
🛰️4. スロースリップの観測例(実例)
🌋四国・紀伊半島沖(NIEDなどの観測)
- 約6か月周期でスロースリップが起きている
- 地表の数cm単位の移動をGPS連続観測網(GEONET)で検出
📊観測方法:
- 地殻変動データ(GPS、傾斜計、ひずみ計)
- 地震波形との比較(微小地震と連動する場合も)
🛡️5. 防災と予測への応用
- アスペリティーの位置・性質 → 将来の震源予測に活用
- スロースリップの監視 → 地震発生の前兆現象かもしれない
- 連動型地震(例:東海~東南海~南海地震)の事前評価
✅受験チェックポイント
📌 アスペリティーの定義と役割
📌 スロースリップ現象の特徴と観測方法
📌 アスペリティーとスロースリップの関係
📌 地震予測や防災との関係(南海トラフなど)
📌 観測機器の種類(GPS・傾斜計・地震計)