🪂地学㉛:重力加速度の測定
🎯この単元の目的
「重力加速度(\(g\))」は、地球上のあらゆる運動に関わる基本的な物理量です。
この単元では、振り子実験による重力加速度の測定法を中心に、測定の原理・手順・地球科学的意味を理解します。
⚖️1. 重力加速度とは?
🌍定義:
重力によって物体が自由落下する際の加速度
記号:\(g\)
標準値:約9.80665 m/s²
🌐地域差がある!
- 赤道より極のほうが大きい
- 高度が上がると小さくなる
- 地質構造によっても微小な変化がある
🧪2. 測定方法の代表例:単振り子法
🪄原理(理論式):
単振り子の周期 \(T\) は、以下の式で表される:
\[T = 2\pi \sqrt{\frac{L}{g}}\]
ここから、\(g\) を求めるには:
\[g = 4\pi^2 \cdot \frac{L}{T^2}\]
🛠️準備するもの
- 糸とおもり(長さ \(L\) の振り子)
- ストップウォッチ
- 定規やメジャー
- 支持台やクランプスタンド
🧭測定手順
1. 振り子の長さ \(L\) を正確に測定
2. 小さな角度でおもりを振らせて周期を安定させる
3. 往復を10回ほどさせて、合計時間を計測
4. 平均周期 \(T\) を求め、上の式から \(g\) を計算
🧮3. 具体例で計算してみよう
- 振り子の長さ:\(L = 1.00 \, \text{m}\)
- 10往復にかかった時間:\(20.1 \, \text{s}\)
- 周期 \(T = \frac{20.1}{10} = 2.01 \, \text{s}\)
\[g = 4\pi^2 \cdot \frac{1.00}{(2.01)^2} \approx 9.78 \, \text{m/s}^2\]
➡️かなり良い精度!
🧭4. 測定精度を高めるポイント
工夫 | 効果 |
---|---|
大きな振れ角を避ける(5°以内) | 単振り子の近似式が成り立つ |
時間は複数周期で測る | 測定誤差を平均化できる |
空気抵抗や糸の伸びに注意 | 誤差要因を減らす |
地面が安定している場所で実施 | ノイズの低減 |
🌐5. 地学との関連:地球の形と重力の地域差
地球は完全な球体ではなく赤道方向にふくらんだ回転楕円体です。
地域ごとの \(g\) の違い(例):
地点 | 重力加速度 (m/s²) |
---|---|
北極 | 約 9.83 |
赤道 | 約 9.78 |
日本(東京) | 約 9.80 |
🔍なぜ違う?
- 自転による遠心力の影響
- 地殻密度や地下構造の差
- 高度が高いと重力は弱まる(例:富士山頂)
✅受験チェックポイント
📌 単振り子の周期公式とその導出式
📌 重力加速度の求め方\[g = 4\pi^2 \frac{L}{T^2}\]
📌 重力加速度に影響する要因(緯度・高度・地質)
📌 測定精度を高める実験上の工夫
📌 地球物理での応用(重力探査・地質調査など)
🔬発展:重力探査と地球科学
重力加速度の微小な変化を測定することで、地下構造の密度分布を推定できる。
→ 火山地域や活断層の調査、地下資源の探査に活用されている。