📈地学㉚:走時曲線の作成
🧭単元の目的
地震観測所が記録したP波・S波の到達時刻の差(S-P時間)から、震源距離を求めるために使うのが走時曲線。
この単元では、実際に地震記録をもとに走時曲線を描き、活用する方法を学びます。
🌍1. 地震波の基礎知識
💡P波(Primary wave)
- 縦波、最も速い
- 固体・液体・気体すべてを伝わる
- 到達時間が最も早く記録される
💡S波(Secondary wave)
- 横波、P波より遅い
- 固体のみを伝わる(液体を伝わらない)
🔁S-P時間(P波到達とS波到達の時間差)
- 震源距離が遠いほど、S-P時間は大きくなる
📏2. 走時曲線の描き方
✍️準備するデータ
観測点 | 震源距離(km) | P波到達時間(s) | S波到達時間(s) |
---|---|---|---|
A | 100 | 20 | 38 |
B | 200 | 40 | 76 |
C | 300 | 60 | 114 |
…など、既知の震源距離と到達時間を複数用意 |
📉描き方手順
1. 横軸に「震源距離(km)」、縦軸に「到達時間(秒)」のグラフを用意
2. P波の点・S波の点をプロット
3. 各系列を滑らかに結び、「P波走時曲線」「S波走時曲線」の2本を作成
🧮震源距離の求め方(走時曲線から逆算)
1. 未知の観測点のS-P時間を測定(例:18秒)
2. 走時曲線上でSとPの間が「18秒」差になる点を探す
3. その時の横軸の値(=震源距離)を読み取る
📌3. 実践:走時曲線から震源距離を求める
例題:S-P時間が24秒の地点がある。震源距離はどれくらいか?
解法手順:
1. 走時曲線を参照
2. S波とP波の差が24秒になる震源距離を探す
3. 仮にその点が「約260 km」なら、答え:260 km
※この方法は震源決定の初期ステップでもあり、複数地点の震源距離から震源の位置を三角測量で求める。
🎯走時曲線のポイント整理
ポイント | 説明 |
---|---|
S-P時間は震源距離の指標になる | 長くなるほど震源から遠い |
P波とS波の到達時間から走時曲線を作成 | 実験・実測値から描くことが重要 |
曲線を使って未知地点の震源距離が求められる | 読み取り精度がカギ |
✅受験チェックポイント
📌 P波とS波の違い(性質・速度・伝わり方)
📌 走時曲線の縦軸・横軸の意味
📌 S-P時間と震源距離の関係
📌 グラフから震源距離を読み取る手順
📌 三角測量による震源の特定
🧪発展:P波・S波の速度の概算値
波の種類 | 地殻中の平均速度 |
---|---|
P波 | 約6 km/s |
S波 | 約3.5 km/s |
これを使って、S-P時間から震源距離を近似的に計算可能:
\[\text{震源距離} ≒ \frac{(v_P \cdot v_S)}{(v_P - v_S)} \times (S - P)\]
(実際の使用では走時曲線の方が簡便)