🌍地学③:プレートテクトニクス
🧭単元の概要
この単元では、地球のダイナミックな活動の仕組みを理解します。特に「プレートテクトニクス理論」は、地震や火山、造山帯の形成、そして地球の進化に至るまで、あらゆる地質現象を統一的に説明できる現代地学の基盤理論です。
プレートの移動がどのようにして起こるのか、それによってどのような現象が起こるのかを体系的に学びます。
🔬1. プレートテクトニクス理論とは?
プレートテクトニクス(plate tectonics)は、地球のリソスフェア(岩石圏)が十数枚のプレートに分かれ、それらが地球内部の熱によって動いているという理論です。
🧱 【復習】リソスフェアとアセノスフェアの違い
- リソスフェア(lithosphere):地殻と最上部のマントルを含む硬い層。厚さはおよそ100km程度。
- アセノスフェア(asthenosphere):リソスフェアの下にある比較的粘性が高く流動性を持つマントル部分。対流運動が起こっており、プレートの動きを駆動する。
🔄 プレートの種類と特徴
プレートの種類 | 含まれる地殻 | 代表例 |
---|---|---|
大陸プレート | 主に花崗岩質の大陸地殻+マントル | ユーラシアプレート |
海洋プレート | 主に玄武岩質の海洋地殻+マントル | 太平洋プレート |
※海洋プレートの方が密度が高く、沈み込みやすいのが特徴。
※日本周辺には「太平洋プレート」「フィリピン海プレート」「北アメリカプレート」「ユーラシア(アムール)プレート」がある。
⚙️ 2. プレートの境界とその活動
プレート同士の境界では、大規模な地殻変動が生じます。3つのプレート境界タイプを理解しましょう。
➕① 発散境界(広がる境界)【Ex. 中央海嶺】
- プレートが互いに離れていく境界。
- マントルが上昇(上部マントルの減圧融解)し、マグマが噴出して新たな地殻を形成。
- 中央海嶺では新しい海洋プレートが生成される。
📝 チェックポイント:
- 中央海嶺 → 玄武岩質の枕状溶岩
- 発散境界 → 地震の深さは浅い(浅発地震)
➖② 収束境界(ぶつかる境界)【Ex. 日本列島周辺】
- プレートが互いにぶつかり合う境界。
- 密度の高い海洋プレートが、密度の低い大陸プレートの下に沈み込む。
- 海溝や島弧(island arc)が形成され、深発地震・火山活動が活発。
📌 沈み込み帯で起こる現象:
- 和達-ベニオフ面(和達-ベニオフ帯とも)に沿って地震が発生(深発地震)
- マントル上部での脱水反応→マグマの生成
- 火山列が形成される(島弧火山)
📝 チェックポイント:
- 日本列島 → 海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込み(日本列島は島弧の一種)
- 日本海溝 → 太平洋プレートの沈み込み
- フィリピン海プレート → 南海トラフを形成
※島弧は"弧状列島"ともいう。
🔁③ すれ違い境界(トランスフォーム断層)【Ex. サンアンドレアス断層】
- プレートが横方向にすれ違う境界。
- 地殻の水平移動により、大地震が頻発。
📝 チェックポイント:
- トランスフォーム断層 → 地震活動は活発だが火山活動はほぼなし
- サンアンドレアス断層 → 北アメリカプレートと太平洋プレートの境界
🔥 3. プレートを動かす力
🌡️ マントル対流
- 地球内部の放射性元素の崩壊熱などにより、マントルが対流。
- この対流がプレート運動のエネルギー源と考えられる。
🧲 リッジプッシュとスラブプル
力 | 内容 |
---|---|
リッジプッシュ(ridge push) | 中央海嶺からプレートが重力によって押し出される力 |
スラブプル(slab pull) | 沈み込み帯でプレートが自重で引っ張られていく力(より支配的) |
🧠 4. プレートテクトニクス理論の意義
- 地震・火山・山脈・海溝などの地質現象を一元的に説明可能。
- 過去の超大陸(パンゲア)の形成と分裂にも関係。→大陸移動説(アルフレート・ウェゲナー)を説明
- プレートの動きは数cm〜10cm/年の速さで、地球の歴史スケールでは大規模な影響を与える。
🎯 受験チェックポイント
✅ 「プレート境界の3タイプ」と、それぞれで起こる現象(地震・火山・海溝・島弧)をセットで覚える
✅ 中央海嶺では新しいプレートが生まれる、沈み込み帯では消滅する
✅ 発散境界では浅発地震、収束境界では深発地震も起こる
✅ リッジプッシュとスラブプルの違い
✅ サンアンドレアス断層=すれ違い境界の代表例
✅ ベニオフ面と深発地震の関係
✅ アセノスフェアとリソスフェアの違いは説明できるように
🧩α 補足:ホットスポットとは?
- プレートとは関係なく、マントル深部からの局所的な高温域(ホットプルーム)により火山が形成。
- 例:ハワイ諸島(太平洋プレート上を動きながら、固定されたホットスポット上に火山列ができる)