🌌地学㉙:膨張する宇宙
🌠 単元の概要
「宇宙は静的なもの」ではなく、膨張している――
この衝撃的な事実は20世紀初頭に発見され、現代宇宙論(ビッグバン宇宙論)の基礎となりました。
今回は、観測的証拠と理論の展開、宇宙の始まりと未来まで学びます。
🔭1. 銀河の赤方偏移とハッブルの法則
🌈赤方偏移とは?
- 銀河からの光のスペクトル線が赤い方(長波長)にずれている現象
- ドップラー効果に類似 → 銀河が地球から遠ざかっていることを示す
🧮ハッブルの法則(1929年)
> 遠くの銀河ほど、その後退速度は大きい
> v = H0 × d
> (v:後退速度、H0:ハッブル定数、d:距離)
- 宇宙全体が一様に膨張していることを示す重要な証拠
💥2. ビッグバン宇宙論
🌌宇宙の始まり
- 約138億年前、高温・高密度な1点から膨張が始まった
- ビッグバンは宇宙空間そのものの膨張を意味し、「爆発」ではない
🧪観測的根拠
1. ハッブルの法則(銀河の後退)
2. 宇宙背景放射(CMB)
* 約38万年後、宇宙が冷えて原子ができた時のマイクロ波
* 宇宙がかつて非常に高温だった証拠
3. 元素存在比
* H, He, Li などの比率が理論と一致 → 初期の核融合による生成を示唆
🕳️3. 宇宙の構造形成
- ビッグバン後、わずかな密度のむら(量子ゆらぎ)が重力で増幅
→ 銀河や銀河団などの構造が形成された
- ダークマター(暗黒物質)の重力的影響が構造形成に不可欠
🔮4. 宇宙の未来とダークエネルギー
💨宇宙の加速膨張
- 1998年、Ia型超新星の観測により膨張速度が加速していることが判明
- この加速膨張を説明するためにダークエネルギーの存在が提唱された
🧩宇宙の構成(現在の標準モデル)
成分 | 割合(概算) |
---|---|
普通の物質(原子) | 約5% |
ダークマター | 約27% |
ダークエネルギー | 約68% |
🧭5. 宇宙の未来シナリオ(理論的仮説)
シナリオ名 | 内容 |
---|---|
ビッグフリーズ | 加速膨張が続き、やがて全宇宙が冷えきって静止する |
ビッグリップ | ダークエネルギーが強まり、あらゆる構造が破壊される |
ビッグクランチ | 膨張が止まり、逆に収縮して宇宙が一点に戻る(収縮宇宙) |
※観測的には「ビッグフリーズ」または「ビッグリップ」が有力とされる |
📘関連する発見の年表(抜粋)
年 | 発見・理論 |
---|---|
1929 | ハッブル、銀河の後退と法則を発表 |
1965 | 宇宙背景放射の発見(ペンジアスとウィルソン) |
1998 | 宇宙の加速膨張の発見(Ia型超新星の観測) |
✅受験チェックポイント
📌 赤方偏移とハッブルの法則(公式含む)
📌 ビッグバン理論の観測的根拠(3つ:赤方偏移・背景放射・元素比)
📌 宇宙の構成成分(普通の物質、ダークマター、ダークエネルギー)
📌 宇宙の未来に関する仮説
📌 宇宙背景放射と観測手段