🌟地学㉕:恒星の性質
🔭 単元の概要
宇宙には無数の恒星が存在しますが、それぞれの明るさ・色・質量・寿命は異なります。
本単元では、恒星を光度・表面温度・スペクトル型・HR図(ヘルツシュプルング=ラッセル図)に基づいて分類し、その性質を理解していきます。
💡1. 恒星の明るさと等級
🔸① 見かけの等級( apparent magnitude )
- 地球から見た恒星の明るさ
- 小さいほど明るく、6等級が肉眼で見える限界
- 1等級差=明るさが約2.5倍
🔸② 絶対等級( absolute magnitude )
- 恒星を10パーセクの距離に置いたときの見かけの明るさ
- 恒星本来の明るさ(光度)を比較できる
📘《補足》
- 太陽:見かけ等級 ≒ -26.7、絶対等級 ≒ +4.8
- シリウス:見かけ等級 ≒ -1.46、絶対等級 ≒ +1.4
🔥2. 表面温度と色
恒星の色は表面温度に対応しており、高温ほど青白く、低温ほど赤い。
色 | 表面温度 | 例 |
---|---|---|
青白 | 10,000K以上 | シリウスB |
白 | 約7,500K | ベガ |
黄色 | 約6,000K | 太陽 |
赤 | 3,000K以下 | ベテルギウス |
- 恒星は黒体放射の法則に従い、ピーク波長が短いほど温度が高い
→ ウィーンの法則:λ\_max × T = 定数
🔬3. スペクトル型による分類
恒星のスペクトル(光を波長で分解したもの)から、表面温度や組成を判別できる。
分類は温度が高い順に O, B, A, F, G, K, M型。
※語呂:「おおばあふぐかも」
型 | 温度 (K) | 色 | 例 |
---|---|---|---|
O型 | 30,000以上 | 青白 | ζパペーティス |
B型 | 10,000 | 青白 | スピカ |
A型 | 9,000 | 白 | ベガ |
F型 | 7,000 | 黄白 | プロキオン |
G型 | 6,000 | 黄 | 太陽 |
K型 | 5,000 | 橙 | アルデバラン |
M型 | 3,000以下 | 赤 | ベテルギウス |
✅ 水素吸収線の強さも型によって変化する(例:A型星で最も強い)
📊4. HR図(ヘルツシュプルング=ラッセル図)
HR図とは、横軸に表面温度、縦軸に光度(または絶対等級)を取った図。
🔹基本構造
- 主系列星(Main Sequence):左上→右下の帯状領域
- 巨星・超巨星:主系列より上方に位置(高光度・低温)
- 白色矮星:左下に位置(低光度・高温)
🔹HR図の読み方例
位置 | 特徴 | 例 |
---|---|---|
左上 | 高温・高光度(大質量星) | シリウスA |
中央 | 太陽型(G型主系列星) | 太陽 |
右下 | 小さくて高温の白色矮星 | シリウスB |
右上 | 低温・高光度の赤色巨星 | ベテルギウス |
📘《主系列星の特徴》:質量が大きいほど明るく高温、寿命は短くなる
📐5. 質量・半径・寿命との関係
- 恒星の性質は主に質量によって決まる
- 質量が大きい恒星ほど核融合が速く、寿命は短く(数百万年)
- 小さい恒星は燃焼がゆるやかで、寿命は数千億年以上に及ぶ
✅受験チェックポイント
📌 見かけの等級・絶対等級・光度の関係を理解
📌 恒星の色と表面温度の関係(黒体放射)
📌 スペクトル型(OBAFGKM)と代表星を暗記
📌 HR図の読み方(主系列星・巨星・白色矮星の位置)
📌 恒星の質量・温度・光度・寿命の関係