🌍地学②:固体地球としての地球の概観②
~熱・地磁気から探る地球の内側~
🧠 単元の概要
前回の学習では、地震波や重力によって地球内部の構造を明らかにする手法を学びました。今回は、地球内部の熱エネルギーと地磁気(ちじき)という視点から、地球の内部構造やダイナミズム(活動性)を探っていきましょう。これらはプレートの運動やマントル対流とも深く関係しています。
🔥 1. 地球内部の熱とエネルギー源
🔧 地球内部にはどんな熱がある?
地球内部には膨大な熱エネルギーが存在しています。この熱は以下の3つの要因によって生じています。
1. 地球形成時の重力エネルギーの放出
- 約46億年前の地球形成時、惑星が衝突・合体することで重力エネルギーが熱に変わりました。
2. 放射性同位体の崩壊熱
- ウラン238、トリウム232、カリウム40などの放射性元素の崩壊により、現在でも内部に熱が生じています。
3. 鉄の核への沈降(分化エネルギー)
- 初期のマグマオーシャン時代に重い元素(鉄など)が中心部に沈み、エネルギーが発生しました。
🌡️ 地球内部の温度構造
地球内部の温度は深くなるほど高くなりますが、温度勾配(温度の上昇率)には2種類あります。
層 | 温度勾配 | 特徴 |
---|---|---|
地殻 | 約25〜30℃/km | 比較的急な勾配 |
マントル | 数℃/km以下 | 対流によって熱が運ばれるため勾配は緩やか |
核 | 核-マントル境界(D''層)付近では約4000℃、内核中心部は約6000℃と推定 |
♨️ 熱の伝わり方:地球内部でのエネルギー移動
地球内部では3つの方法で熱が伝わっています:
- 伝導:分子の振動によって熱がゆっくり伝わる(地殻で主に見られる)
- 対流:物質の移動によって熱が効率的に伝わる(マントルや外核で主に見られる)
- 放射:空間を通じて熱が伝わる(地球内部ではほぼ影響なし)
✅ 重要ポイント:マントルは固体だが「粘性のある流体」のようにゆっくり対流する!
これはプレートテクトニクスの原動力でもあります。
🧲 地磁気とは何か?
💡 地磁気の正体
地球は巨大な磁石のように、南北に磁力を持っています。これを地磁気(geomagnetism)と呼びます。地球の磁場は、方位磁針の動作やオーロラの発生、宇宙線の防御などに深く関わっています。
⚙️ 地磁気の起源:ダイナモ理論
地磁気は、地球の外核(液体の鉄・ニッケル)の中で起こる電流の流れによって生じます。これはいわゆる自己励起型の電磁誘導現象で、「地球ダイナモ」と呼ばれる仕組みによって維持されています。
- 外核は高温・高圧で液体状態の金属
- 地球の自転と熱による対流運動が、電流を発生させ、磁場を生み出す
- この磁場がさらに電流を強化することで、磁場が維持される
✅ 受験にも出やすそうなポイント:「外核の対流運動と地球の自転が地磁気の維持に必要」
🔄 地磁気の逆転とその証拠
地磁気は数十万年〜数百万年に一度、N極とS極が逆転します。この現象を地磁気逆転(geomagnetic reversal)といいます。
🪨 証拠:海底の縞模様(ストライプ)
- 海嶺(プレートが広がる場所)では新しい海洋地殻が生まれます。
- そのときの地磁気の向きが、玄武岩に記録されます。
- プレートが左右に移動することで、地磁気の向きが交互に並んだ縞模様が形成されます。
この発見により、「プレートテクトニクス理論の有力な証拠」が得られました。
🎯 受験チェックポイントまとめ
項目 | チェックポイント |
---|---|
地球内部の熱源 | 放射性崩壊、重力エネルギー、分化 |
温度勾配 | 地殻では急、マントルでは緩やか(対流) |
熱の伝わり方 | 伝導・対流・放射(内部では主に伝導と対流) |
地磁気の起源 | 外核の対流+地球の自転(ダイナモ理論) |
地磁気逆転 | 海底の縞模様、プレートの拡大証拠になる |
これらの現象は、地球が今も「生きている」ことを示す重要な証拠です。