🌊地学⑲:海水運動
🌍 単元の概要
この単元では、海水がどのように動いているのかを理解する。
風が引き起こす表層の流れ(表層流)と、密度差により生じる深層の流れ(深層循環)、そしてそれらを結ぶ地球規模の熱塩循環について学ぶ。
🌬️1. 表層流:風による海水の動き
🔄風成海流(表層流)
- 主に偏西風・貿易風など、大気の大循環によって駆動
- 深さ数百m程度までの層を移動
- 地球の自転の影響(コリオリの力)で、流れの向きが曲げられる
🌐主な海流とその流れ方
太平洋 | 大西洋 | その他 |
---|---|---|
北赤道海流(西向き) 黒潮(日本沿岸を北上) 北太平洋海流(東向き) カリフォルニア海流(南下) | 北赤道海流(西向き) メキシコ湾流(北上) 北大西洋海流(東向き) カナリア海流(南下) | ベンゲラ海流(南下・寒流) 西オーストラリア海流(寒流) |
📌 高緯度から赤道への海流:寒流
📌 赤道から高緯度への海流:暖流
🧊2. 深層循環:密度差による深い海水の流れ
📉深層流の原因=密度差!
- 水温が低い・塩分が高い → 密度が高い → 沈みこむ
- 高緯度の冷たい海水が沈み込み、深層に流れる
🌍深層水の主な起源
- 北大西洋(グリーンランド沖)で形成された冷たくて重い水が沈降
- そこから世界中の深海へ広がる
📌 沈み込んだ深層水は、何百年もかけて全球を循環!
🔁3. 熱塩循環:地球規模の海洋ベルトコンベア
🔄熱塩循環(thermohaline circulation)とは?
- 「熱(temperature)」と「塩分(salinity)」による密度差が原動力
- 表層流と深層流がつながって、地球全体をめぐる大循環
🌐熱塩循環の流れ(ざっくり)
1. 北大西洋で冷却 → 沈み込む(深層流に)
2. 南下して南極大陸周辺を通過
3. 太平洋・インド洋の深層まで到達
4. 徐々に上昇(湧昇)
5. 表層流として再び大西洋へ戻る
📌 この大循環は約1000年規模で1周する!
🌊4. 海水の上下運動:湧昇と沈降
🔼湧昇(アップウェリング)
- 海底や中層の水が上昇する現象
- 栄養塩が豊富 → プランクトンが増殖 → 漁場となる
✅ 湧昇が起こりやすい場所:
- 赤道付近(貿易風で表層水が引き離される)
- 沿岸(例:南米沖のペルー海流)
🔽沈降(ダウンウェリング)
- 表層水が密度上昇などにより沈み込む現象
- 主に高緯度の寒冷海域(例:北大西洋)
🌡️5. エルニーニョとラニーニャ
🌊エルニーニョ現象
- 通常:ペルー沖で湧昇 → 栄養塩豊富・冷水
- エルニーニョ:貿易風が弱まる → 暖水が東へ逆流・湧昇が抑制
📌 海水温の上昇により、異常気象(日本の暖冬・南米の豪雨)の原因に!
❄️ラニーニャ現象
- 貿易風が強くなる → 湧昇強化 → 通常より冷たい海水が広がる
- エルニーニョと逆の気候変動パターンが生じる
✅受験チェックポイント
📌 表層流は風の影響、深層流は密度差が原因!
📌 黒潮=暖流/親潮=寒流の区別と流れの向き
📌 北大西洋で沈み込む深層水が熱塩循環の起点!
📌 湧昇は栄養塩を上げて生物生産に貢献
📌 エルニーニョ・ラニーニャ現象の違いと影響は頻出!