🌊地学⑱:海洋の構造
🌍 単元の概要
この単元では、海水の性質と分布の特徴、および海洋の鉛直的な構造について学びます。
海は一様ではなく、温度・塩分・密度の違いによって層をなしています。
この「層の構造」が、のちの海水運動(深層循環・表層流)にもつながる基本になる!
🌡️1. 海水の基本的性質
💧塩分(Salinity)
- 海水中の溶存塩類(主にNaCl)の割合
- 平均塩分濃度:約3.5%(35‰)
- 赤道〜中緯度:蒸発によりやや高塩分
- 高緯度や多雨地域:降水・融雪で低塩分
📌 塩分は密度に影響し、海水の成層構造を形成する一因!
🌡️温度(Temperature)
- 表層水は太陽放射により加熱され、温暖
- 深層水は太陽光が届かず低温(ほぼ一定の冷水)
- 温度は緯度・季節・深さにより変化
📌 海洋表面での熱収支の不均衡が、地球規模の循環運動の原動力に!
🧊密度(Density)
- 密度は 温度↓・塩分↑で大きくなる
- 表層は密度が小さく、深層ほど大きくなる傾向
- 密度差があると対流や混合が起こりにくくなる(成層が安定)
🧱2. 海洋の鉛直構造(垂直的な層構造)
海洋は、深さに応じて大きく3層構造をもつ。
層 | 深さ | 特徴 |
---|---|---|
表層混合層(混合層) | 0〜数百m | 風・波により混合される層。温度・塩分ほぼ一定。 |
水温躍層(サーモクライン) | 約200〜1000m | 温度が急激に低下。密度差が大きく、混合困難。 |
深層 | 1000m以深 | 水温・塩分ほぼ一定の冷たくて重い水。 |
📌 熱帯では水温躍層がはっきり、極域では浅い or ない場合も。
📌 躍層=「急激な変化がある層(しきい層)」という意味。
🌎3. 地域ごとの特徴
🟡熱帯域
- 表層が非常に温かく、水温躍層が明瞭
- 混合層が薄く、成層が安定
🔵高緯度域
- 表層と深層の温度差が小さく、混合が起きやすい
- 海氷の融解により塩分が低くなる場合も
⚪中緯度域(日本付近)
- 四季変化が大きく、混合層の深さが季節で変動
- 冬:混合層深く → 栄養塩が上昇し植物プランクトン繁殖
- 夏:強い日射 → 混合層浅くなる
⚖️4. 海洋の成層の安定性
成層の安定性とは、「層が保たれやすいかどうか」
- 密度差が大きい(=温度差・塩分差が大) → 安定
- 密度差が小さい → 対流・混合が起こりやすい
📌 成層が安定すると、下層からの栄養塩の供給が遮断 → 生態系にも影響!
🧪5. 海水の性質の観測と測定
- CTD観測機器(Conductivity-Temperature-Depth):塩分・温度・深さを連続測定
- ARGOフロート:自動で海中を昇降し、全球的な海洋データを収集
📌 こうした観測により、気候変動・エルニーニョ現象の監視も可能に!
✅受験チェックポイント
📌 海水の塩分・温度・密度の関係を整理!
📌 鉛直構造3層(混合層・躍層・深層)の特徴と順序
📌 水温躍層が発達するのは熱帯域!
📌 冬季の混合が植物プランクトン繁殖につながる理由
📌 CTD観測とARGOフロートの働きもチェック!