🌡️地学⑩:長期的な気候変動
🧭 単元の概要
この単元では、地球の長い歴史の中で気候がどのように変動してきたのかを学習する。氷期と間氷期の繰り返し、温暖な時代、そして近年の人為的な気候変動まで、さまざまなスケールの気候変化を扱う。気候変動の要因(天文的・地殻的・生物的)や、証拠(地層・化石・酸素同位体など)、そして将来予測にまでつながる重要な分野である。
🧊1. 地球の気候変動のスケール
🔹気候変動の「時間スケール」
時間スケール | 例 | 主な要因 |
---|---|---|
数千万年〜億年 | 氷河時代・温暖期の繰り返し | プレート移動、火山活動、生命進化など |
数十万年 | 氷期と間氷期の交代 | 地球軌道の変化(ミランコビッチ・サイクル) |
数千〜数万年 | 小氷期、完新世の気候変動 | 太陽活動、海流の変化、人間活動 |
🌍2. 過去の気候変動の証拠
🔸地層と化石
* 石炭層:湿潤で温暖な気候 → 熱帯性植物の大量埋没(古生代)
* 氷成堆積物:氷河による砕屑物(氷期の証拠)
* サンゴ化石:温暖・浅海環境に生息 → 緯度や気候の指標になる
🔸酸素同位体(O18 / O16)
* 氷期になると海水中のO18比率が高くなる(O16は氷河に隔離される)
* 海底堆積物中の有孔虫の殻などから測定可能
* より定量的な気温変化の復元が可能になる
🔸年縞・氷床コア
* 年縞:湖底の季節的な堆積物。年ごとの気候が分かる。
* 氷床コア:南極やグリーンランドの氷をボーリング採取 → 過去数十万年の気温・CO2濃度の変化を解析可能
❄️3. 氷期と間氷期の繰り返し(第四紀)
🔹氷期・間氷期とは
* 氷期:地球規模で気温が低下し、氷床が拡大した時期
* 間氷期:氷期と氷期の間に訪れる比較的温暖な時期(現在は間氷期)
🔍 直近の氷期は約2万年前の「最終氷期」。その後、完新世(約1.1万年前〜現在)に入り、気温が安定している。
🔸ミランコビッチ・サイクル
地球の軌道変化により、太陽エネルギーの分布が変化し、気候変動を引き起こす。
要因 | 周期 | 内容 |
---|---|---|
離心率 | 約10万年 | 地球の公転軌道が楕円に近づいたり円形に戻ったりする |
地軸の傾き | 約4.1万年 | 地軸の傾きが22.1°〜24.5°の間で変化(傾くほど極端な季節に) |
歳差運動 | 約2.3万年 | 地軸の向きがコマのように回転(夏がいつ来るかが変化) |
🌞 この3つの要素が組み合わさることで、氷期・間氷期の交代が起こる。
🌋4. 気候変動の原因とメカニズム
🔹地球内部・外部要因
種類 | 内容 |
---|---|
地殻変動 | プレートの移動による大陸配置の変化(海流・大気循環の変化) |
火山活動 | 大規模噴火によるエアロゾル → 日射量の減少 → 気温低下 |
太陽活動 | 黒点数の変動や太陽放射の強弱(例:マウンダー極小期=小氷期) |
生命の影響 | 光合成によるCO2削減、植物の分布変化 → 気候に影響 |
人間活動 | 産業革命以降の温室効果ガス排出 → 地球温暖化が加速中(※現代の問題) |
🌿5. 地球温暖化と人為的影響
🔸温室効果ガスと気温上昇
* 主な温室効果ガス:CO2、CH4(メタン)、N2O(亜酸化窒素)
* 大気中のCO2濃度は、産業革命以降に急増
* 気温上昇と並行して海面上昇、異常気象、生態系の変化が報告されている
🔹パリ協定と国際的取り組み
* パリ協定(2015):世界平均気温の上昇を産業革命前より2℃未満に抑える目標→SDGs(Sustainable Development Goals)
* 脱炭素社会、再生可能エネルギーの導入などが求められている
✅受験チェックポイント
📌 地層・化石・酸素同位体など、気候変動の証拠を具体的に説明できるか
📌 ミランコビッチ・サイクルの3要素(離心率・傾き・歳差)とそれぞれの周期を整理しているか
📌 氷期と間氷期の違いと、第四紀の気候変動の特徴を理解しているか
📌 地球外要因(太陽活動など)と内部要因(火山・大陸移動など)を区別して答えられるか
📌 酸素同位体比による気温推定の仕組みを原理から説明できるか
📌 現在の地球温暖化が他の自然要因とどう異なるか、人為的影響を論述できるか