地学基礎⑨:大気の大循環
🌬 大気の動きと熱収支の関係
地球全体の熱の不均衡
地球は太陽からエネルギーを受け取りますが、その分布は緯度によって不均一です。
地域 | 熱収支 | 内容 |
---|---|---|
赤道付近 | 正(+)の熱収支 | 受け取る太陽エネルギーが多い |
極地方 | 負(−)の熱収支 | 放出する熱エネルギーの方が多い |
▶ この熱の不均衡を解消するために、大気が循環している。
🌊 対流とは何か?
温められた空気は軽くなり、上昇します。
冷やされた空気は重くなり、下降します。
→ これを「対流」と呼び、これが大気の基本的な動き。
🌎 地球全体の大気の流れ:大気の大循環
大気はただ単純に赤道から極に向かって動くわけではありません。
地球の自転の影響により、地球全体は以下の3つの循環帯(セル)に分けられます。
(1)ハドレー循環(0°〜30°)
- 赤道付近で上昇気流が発生(太陽光で加熱)
- 上昇した空気は高度10〜15kmで極側に流れ、30°付近で下降する
- 下降した空気は地表付近を赤道へ戻る
▶ これにより、赤道低圧帯(上昇)、亜熱帯高圧帯(下降)が生まれる
(2)フェレル循環(30°〜60°)
- 亜熱帯高圧帯の下降気流の一部は高緯度に向かって移動
- 60°付近で極側からの冷たい空気とぶつかり上昇する(極前線)
▶ これにより中緯度低圧帯(温帯低気圧が発生しやすい)が形成される
(3)極循環(60°〜90°)
- 60°で上昇した空気は、極へ向かい下降
- 冷たい空気は地表を60°方向に戻る
▶ 極高圧帯と極前線(低圧帯)を形成
📍 大気の流れを曲げる力:コリオリの力(転向力)
地球は自転しているため、大気は単純に南北には流れず、曲げられる。
地域 | 向き | 曲がる方向 |
---|---|---|
北半球 | 北から南へ | 右に曲がる(時計回り) |
南半球 | 南から北へ | 左に曲がる(反時計回り) |
▶ このため、風の向きは赤道から真っ直ぐではなく斜めになる
🌬 主要な風帯(風の帯)
大循環の結果、地球には次のような恒常風(年中吹く風)が生じます。
緯度帯 | 名前 | 吹く方向 |
---|---|---|
0°〜30° | 貿易風 | 北東風(北半球)/南東風(南半球) |
30°〜60° | 偏西風 | 南西風(北半球)/北西風(南半球) |
60°〜90° | 極東風 | 北東風(北半球)/南東風(南半球) |
☔ 気圧帯と天気の関係
気圧帯 | 緯度 | 気象特徴 |
---|---|---|
赤道低圧帯 | 0° | 雲ができやすく、雨が多い(スコール) |
亜熱帯高圧帯 | 30° | 雲ができにくく、乾燥地帯(砂漠) |
中緯度低圧帯 | 60° | 前線・低気圧が発生しやすい |
極高圧帯 | 90° | 寒冷で乾燥、気圧安定 |
受験チェックポイント ✅
チェック項目 | 内容 |
---|---|
🔲ハドレー循環 | 赤道上昇 → 30°下降 → 赤道へ戻る(貿易風) |
🔲フェレル循環 | 30°上昇 → 60°で前線上昇(偏西風) |
🔲極循環 | 60°上昇 → 90°下降(極東風) |
🔲コリオリの力 | 北半球で右向き、南半球で左向きに曲がる |
🔲恒常風 | 貿易風・偏西風・極東風の向きと場所を暗記! |
🔲気圧帯 | 低圧=上昇気流=雨、高圧=下降気流=晴れ |