地学基礎⑥:地層の形成と地質構造
🗻 地層の重なりと地質年代の判断
(1)地層累重の法則
- 「下の地層ほど古く、上の地層ほど新しい」という原則。
- 水平方向に堆積したと仮定される。
(2)不整合
- 地層が侵食されたあとに別の地層が重なることで、地質時代の空白(ギャップ)が生まれる。
- → 地層の「連続性」が断たれる。
(3)鍵層
- 広い範囲に一度に堆積し、特徴的な性質を持つ地層。
- 地層の対比(時代を揃える)に使われる。
- 例:火山灰層(凝灰岩)、特定の化石を多く含む層(示準化石)
🏔 地質構造とは(地層の変形)
プレート運動などによって、地層にはさまざまな変形(構造)が生じる。
(1)褶曲
- 地層が波状に曲がる変形。
- 地殻変動(圧縮力)によって起こる。
種類 | 特徴 | 中心部の地層 |
背斜 | 山のように盛り上がる | 古い地層 |
向斜 | 谷のようにへこむ | 新しい地層 |
※ 地図上で地層が左右対称に湾曲しているのが特徴
(2)断層(だんそう)
- 地層が破壊され、ズレを生じる構造。
- 地震の発生にも関係。
種類 | 特徴 | 働く力 |
正断層 | 上盤が下がる | 引っ張る力 |
逆断層 | 上盤が上がる | 圧縮する力 |
横ずれ断層 | 水平にズレる | 水平方向の力 |
→ 断層の「上盤」「下盤」は傾いた断層面を基準にして判断。
(3)不整合(再掲)
- 地層の一部が侵食→新たに堆積したことで、「時代の飛び」ができる。
📈 地質図と地質構造の判読(基礎)
地質図は、地層・構造・地形をまとめた地図であり、地形や地質の調査に活用される。
ポイントとなる記号や情報:
記号・項目 | 意味 |
地層の境界線 | 地層と地層の接する線 |
地層の走向(そうこう) | 地層が水平に伸びる方向 |
地層の傾斜(傾斜方向・傾斜角) | 地層が傾いている方向と角度 |
背斜・向斜の表示 | 地層の曲がり方を示す矢印など |
🌎 地層と地形の関係
地質構造 | 地形例 | 特徴 |
背斜 | 山地・丘陵 | 盛り上がる |
向斜 | 谷・盆地 | 凹んでいる |
断層 | 断層崖・谷 | 突然の段差、ズレ |
硬い地層(硬岩) | 丘・山 | 侵食に強い |
柔らかい地層(軟岩) | 谷・低地 | 侵食されやすい |
🗾 代表的な日本の地質構造の例(知っておくとよい)
地域 | 地質構造・特徴 |
中央構造線(MSTL) | 日本最大の断層。九州〜関東まで伸びる横ずれ断層 |
糸魚川-静岡構造線(ISTL) | 日本列島を東西に分ける大断層。フォッサマグナの西端を形成 |
フォッサマグナ | 本州の中央に広がる地質帯。西の糸魚川—静岡構造線が境界 |
山脈・盆地地形 | 背斜・向斜が地形に反映(例:山地=硬岩の背斜) |
受験チェックポイント ✅
チェック項目 | 内容 |
🔲地層累重の法則 | 下が古く、上が新しい |
🔲背斜・向斜の違い | 背斜=古い中心、向斜=新しい中心 |
🔲断層の種類 | 正断層・逆断層・横ずれ断層の力と動き |
🔲不整合の意味 | 地質時代の断絶(侵食+新たな堆積) |
🔲地質構造と地形 | 硬岩=山・軟岩=谷、背斜=山、向斜=谷 |
🔲地質図の基本 | 走向・傾斜、構造線、記号読み取り |