地学基礎⑤:堆積作用
🌊 堆積作用とは
堆積作用とは、風や水・氷などによって運ばれてきた物質(砕屑物や有機物など)が、地表の低いところや海・湖の底などに積み重なることを指す。
- 風化 → 運搬 → 堆積 → 固結(岩石化)という流れ。
- 主に川・海・湖・氷河・風などが堆積環境。
🪨 堆積物と堆積岩
堆積作用でできる物質は、堆積物(たいせきぶつ)と呼ばれ、長い時間が経つと堆積岩(たいせきがん)になる。
✅ 主な堆積岩と特徴(覚える!)
種類 | 成因・成分 | 粒の大きさ | 特徴 | 主な例 |
---|---|---|---|---|
礫岩 | 大きな礫が固まる | 2mm以上 | 角が丸い(運搬されている) | 河川・扇状地 |
砂岩 | 砂が固まる | 0.06~2mm | 水の流れがある所 | 川・砂浜 |
泥岩 | 泥(粘土やシルト)が固まる | 0.06mm以下 | 静かな水域 | 湖・海の深い所 |
石灰岩 | 炭酸カルシウム(CaCO₃) | 化学・生物成因 | 化石を含むことも多い | サンゴ礁・海底 |
チャート | 二酸化ケイ素(SiO₂) | 硬くて割れやすい | 放散虫などの殻由来 | 深海底 |
石炭・石油 | 植物やプランクトン | 有機成分 | 燃える | 石炭:陸上植物、石油:海中プランクトン |
📍 堆積環境
堆積物の種類は、どこで(環境)どんなものが堆積するかで決まる。
陸上・海岸~深海の例
環境 | 主な堆積物 | 主な堆積岩 | 特徴 |
---|---|---|---|
河川・扇状地 | 礫・砂 | 礫岩・砂岩 | 水流が強い |
三角州 | 砂・泥 | 砂岩・泥岩 | 水流が弱まる |
湖底 | 泥 | 泥岩 | 静かな環境 |
浅い海 | サンゴ・貝殻 | 石灰岩 | 生物が多い |
深海 | 放散虫・火山灰 | チャート | 粒子が非常に小さい |
乾燥地・風成地 | 風で運ばれた砂 | 砂岩 | 風紋などができる |
🏔 層理・堆積構造(地層の証拠)
堆積作用によってできる地層の特徴には以下のようなものがある。
(1)層理(そうり)
- 地層の上下を区切る平らな面
- 時代ごとの堆積の区切り
(2)級化層理(きゅうかそうり)
- 上にいくほど粒が細かくなる
- 一時的な流れの堆積(例:タービダイト)
(3)クロスラミナ(斜交葉理)
- 水や風の流れによる斜めの構造
- 砂漠・河川・浅い海などに見られる
(4)リップルマーク(漣痕・れんこん)
- 水流や風でできた波模様
- 地層の「上下」を判別する手がかり
🐚 堆積作用の重要性(地層・化石の保存)
- 地層は過去の地球環境や生命の履歴を記録している。
- 化石が堆積岩に多い理由:
- 穏やかな環境で埋もれやすく、保存されやすい。
- 地層が重なってできる「地層累重の法則」:下の地層が古く、上が新しい。
受験チェックポイント ✅
チェック項目 | 内容 |
---|---|
🔲主な堆積岩と粒径 | 礫岩(2mm以上)・砂岩・泥岩 |
🔲成因による分類 | 砕屑岩(砂岩など)、化学的(石灰岩)、生物的(石炭など) |
🔲石灰岩の成因 | 生物の殻(サンゴ・貝など)、炭酸カルシウム |
🔲チャートの成因 | 放散虫などのシリカの殻 |
🔲層理・級化層理・リップルマーク | 地層の上下判定、堆積環境の証拠 |
🔲堆積環境と対応する岩石 | 河川→礫岩、湖→泥岩、浅海→石灰岩、深海→チャート |
🔲化石が保存されやすい岩石 | 泥岩・石灰岩などの堆積岩 |