地学基礎②:地球の概観と構造
🌎 地球の形と大きさ
地球の形:完全な球ではない
地球は一見すると「球体」に見えますが、完全な球形(真球)ではなく、やや扁平(へんぺい)な楕円体(回転楕円体)です。
- 赤道半径:約6378 km
- 極半径:約6357 km
- 差:約21 km
このように、赤道方向にふくらみ、極方向に少しつぶれた形をしています。これを「扁球(へんきゅう)」と呼びます。
これは、地球が自転(1日1回の回転)しているために生じる遠心力の影響です。
地球の表面積・体積・質量
- 表面積:約5.1億 km2
- 体積:約10億 km3
- 質量:約5.97 × 1024kg
地球の重力と遠心力
地球は回転しているため、場所によって重力の強さが微妙に異なります。
- 赤道では重力が弱く、極では強い
→ 自転による遠心力が赤道で最大となるため。
ジオイドとは
地球の表面には山や谷があるため、形は複雑です。そこで、平均海水面の高さを基準にした「ジオイド」という概念を使います。
- ジオイドは、重力の等しい仮想の海面の形で、地球の「真の形」に近いとされています。
受験チェックポイント ✅
チェック項目 | 内容 |
---|---|
🔲地球は回転楕円体か | 楕円体。赤道半径 > 極半径 |
🔲赤道と極の半径の差 | 約21 km |
🔲地球の形を表す用語 | 回転楕円体・扁球・ジオイド |
🔲重力が強いのはどこか | 極地方(遠心力が小さい) |
🌋 地球内部の層構造
地球の内部構造:3つの区分
地球の内部は、物質の性質や地震波の伝わり方から以下のように分けられます。
【化学組成】による分類(地球を「成分」で分ける)
層 | 深さの範囲 | 主な構成物質 |
---|---|---|
地殻(ちかく) | 約0~30 km | 花崗岩・玄武岩・堆積岩 |
マントル | 約30~2900 km | カンラン石などのかんらん岩 |
核(コア) | 約2900~6371 km | 鉄・ニッケルが主成分 |
- 地殻は地球の表面を覆う固い部分。大陸地殻と海洋地殻に分かれる。
- 大陸地殻:厚さ平均約30~50 km、花崗岩質
- 海洋地殻:厚さ平均約5~10 km、玄武岩質
- マントルは地球の体積の大部分(約80%)を占める。
- 核(コア)は外核と内核に分かれ、主に金属からできている。
【物理的性質】による分類(地球を「性質」で分ける)
層 | 特徴 |
---|---|
リソスフェア(岩石圏) | 地殻+上部マントルの一部、プレートを構成 |
アセノスフェア(軟らかい層) | 上部マントルの一部、ゆっくり対流している |
メソスフェア(下部マントル) | 高温高圧でやや硬い |
外核(液体) | S波が通れない(液体である証拠) |
内核(固体) | 非常に高温・高圧で、鉄などが固体状態 |
🌎 地震波からわかる地球内部
地震波にはP波(縦波)とS波(横波)があり、性質を活かして地球内部の構造が明らかになりました。
- P波:固体・液体・気体を通る(速い)
- S波:固体のみを通る(遅い)
→ 外核でS波が消失することから、外核は液体とわかる
→ P波の速度変化から、内核は固体であると推定される
モホ面(モホロビチッチ不連続面)
- 地殻とマントルの境界にある地震波速度の不連続面。
- 「モホ面」と呼ばれ、深さは大陸地殻で約30~50 km、海洋地殻で約5~10 km。
地球内部の温度
- 地球内部の温度は中心で約5000~6000℃。
- 深くなるほど高温になる(地温勾配:約25~30℃/km)
受験チェックポイント ✅
チェック項目 | 内容 |
---|---|
🔲地球の主な構造の順序 | 地殻 → マントル → 外核 → 内核 |
🔲地球の体積で最も多い部分 | マントル(約80%) |
🔲地震波からわかること | 外核は液体(S波が通らない) |
🔲モホ面とは | 地殻とマントルの境界。地震波が急に速くなる場所 |
🔲リソスフェア・アセノスフェアの違い | 固いプレート・柔らかい対流層 |
✅ まとめ
- 地球の形は「やや扁平な回転楕円体」
- 地球内部は成分と性質で分類され、地震波の性質から構造がわかる
- 外核が液体であること、リソスフェアがプレートを構成することは重要!