地学基礎⑲:宇宙の誕生
🧨 宇宙の始まり:ビッグバン理論
私たちが住むこの宇宙は、「ビッグバン(Big Bang)」と呼ばれる巨大な爆発的膨張から始まったと考えられている。
この理論によれば、宇宙は約 138億年前 に、一点に集中していた超高温・超高密度の状態から、突然の膨張を起こして誕生した。
🔬 ビッグバンの証拠
1. 宇宙背景放射(CMB)
→ 宇宙が誕生した直後の名残で、宇宙全体に満ちる微弱なマイクロ波放射。NASAのWMAPやプランク衛星によって詳しく測定された。
2. 宇宙の膨張(赤方偏移)
→ 遠くの銀河ほど光が赤くずれて観測される現象で、宇宙が現在も膨張し続けている証拠。
これはハッブルの法則で表される。
3. 元素の存在比
→ 宇宙初期に作られた水素・ヘリウム・リチウムの割合(例:水素約75%、ヘリウム約25%)が理論と一致。
🔥 宇宙初期の変化(宇宙年表)
時間経過後 | 主な出来事 |
---|---|
0秒後 | ビッグバンが発生 |
10⁻³⁵秒後 | インフレーション(急激な膨張) |
10⁻⁶秒後 | 素粒子(クォーク、レプトン)出現 |
1秒後 | 陽子・中性子などの粒子形成 |
3分後 | 軽い元素(水素・ヘリウムなど)が合成される |
約38万年後 | 原子が形成される(宇宙が透明になる) |
約1億年後 | 最初の恒星と銀河が誕生 |
現在(138億年後) | 宇宙が膨張を続け、構造が進化中 |
💡 ダークマターとダークエネルギーとは?
現代の宇宙論では、目に見える物質(恒星、惑星など)は全体のわずか\\5%\\にすぎないとされる。
- ダークマター(暗黒物質):質量を持ち、重力的に銀河の形成や運動に影響を与えるが、光を出さず観測できない。
→ 全宇宙の約27%
- ダークエネルギー(暗黒エネルギー):宇宙の加速膨張を引き起こす正体不明のエネルギー。
→ 全宇宙の約68%
🌟 恒星・銀河の誕生と進化
ビッグバンの後、重力によって水素ガスが集まり、最初の恒星が誕生した。
これが集まってできたのが銀河(galaxy)である。
- 恒星内部での核融合反応により、水素 → ヘリウム → 炭素 → 酸素…と重い元素が合成される。
- 重い恒星の最後は超新星爆発を起こし、その中で鉄より重い元素(例えば金やウラン)が作られる。
これらの元素が宇宙空間にまき散らされ、第2世代・第3世代の恒星や惑星の材料となった。
🌍 太陽系と地球の誕生
- 太陽系は約 46億年前 に誕生。
- 原始太陽の周囲にできた原始太陽系星雲(ガスと塵の円盤)が、惑星の材料に。
- 重い元素を含む塵が集まり、地球などの地球型惑星が形成された。
- 太陽は第2世代星とされ、先代の恒星の残骸からできたと考えられる。
🧭 受験チェックポイント ✅
内容 | ポイント | よく出る形式 |
---|---|---|
🔲ビッグバンの時期 | 約138億年前 | 数値を選ぶ問題、年表の並べ替え |
🔲宇宙背景放射 | 宇宙初期の名残のマイクロ波 | 説明と語句の組み合わせ |
🔲ハッブルの法則 | 距離と速度が比例する | グラフの読み取り問題 |
🔲ダークマター・ダークエネルギー | 宇宙の構成比率 | 選択肢で比率を問う問題 |
🔲最初の元素合成 | ビッグバン元素合成で水素・ヘリウムなどができた | 用語選択や説明問題 |
🔲恒星の進化 | 核融合・超新星爆発・元素合成 | 流れを問う記述や並び替え |
🔲太陽系の誕生 | 約46億年前、原始太陽系星雲説 | 記述・選択・順序問題 |
🔁 総まとめ:宇宙の誕生と構成の理解
1. ビッグバンによって宇宙は誕生し、今も膨張している。
2. 証拠(背景放射・赤方偏移・元素比)によりこの理論が支持されている。
3. ダークマターとダークエネルギーが宇宙の大部分を占めている。
4. 恒星の誕生・進化・死が、宇宙の物質進化の重要なステップである。
5. 太陽系や地球も、宇宙の進化の一部として誕生した。