高校地学基礎・地学

地学基礎⑫:気候の自然変動

☀ 気候と気象のちがい

気候は「長期的な傾向や変化」を表すものであり、本単元ではその「自然な変動」について学ぶ。


🌎 地球の気候は変化してきた

地球の気候は常に一定だったわけではなく、数千年~数百万年のスケールで変動してきた。その変動には自然的要因がある。


📒 気候の自然変動の要因

(1) 地球軌道の変化(ミランコビッチサイクル)

地球の軌道や傾きの変化により、太陽から受けるエネルギー量が変わり、気候にも影響を与える。

種類周期内容
公転軌道の離心率変化約10万年周期楕円の程度が変化し、太陽からの距離が変わる
地軸の傾きの変化約4.1万年周期傾きが変わると、季節の差が変化する
地軸の歳差運動約2.3万年周期地軸の向きが変わり、季節のタイミングがずれる

▶ これらを総称して「ミランコビッチ・サイクル」と呼ぶ。

▶ 氷期と間氷期の交替にも関係しているとされる。

(2) プレート運動・大陸移動

プレートの動きにより大陸の位置が変わると、海流や大気の循環パターンも変わるため、気候が変動する。

例:パンゲア超大陸の形成と分裂により、古生代~中生代の気候が大きく変化した。

(3) 火山の噴火

例:

(4) 太陽活動の変化(黒点数の変動)

例:

(5) 氷床・海洋・植生のフィードバック効果


🥶 氷期と間氷期の繰り返し


📈 地質からわかる過去の気候変動

地球の過去の気候は、以下のような間接的な証拠(プロキシデータ)から調べる。

証拠説明
年輪木の年輪の幅 → 温暖期には広く、寒冷期には狭くなる
氷床コア南極やグリーンランドの氷を掘削 → 氷中の気泡から過去の大気組成を分析(CO2濃度など)
海底堆積物有孔虫の殻に含まれる酸素の同位体比(18O/16O)から海水温を推定
サンゴの骨格成長速度や酸素同位体から過去の海水温を推定

👤 気候変動と人間生活の関わり

自然な気候変動であっても、人間社会に大きな影響を与える。

変動影響例
小氷期農作物不作、飢饉、疫病の流行など
火山噴火による冷夏農業生産への打撃、経済活動停滞

▶ 人類は、自然の気候変動に適応しながら生活を築いてきた


受験チェックポイント ✅

内容チェック
🔲ミランコビッチサイクルの3要素離心率・地軸傾き・歳差運動の周期と影響
🔲氷期と間氷期更新世に繰り返し、現在は間氷期(完新世)
🔲気候に影響を与える自然要因火山、太陽活動、大陸移動、氷床など
🔲火山噴火の例1815年タンボラ → 1816年「夏のない年」
🔲黒点の減少と寒冷化の関係マウンダー極小期=小氷期と関連
🔲気候変動の証拠年輪・氷床コア・海底堆積物・サンゴなど

📍 補足(+α)