地学基礎⑩:海水の運動
🌎 海水はなぜ動く?
海の水も、太陽エネルギーと地球の自転の影響を受けて動きます。
大きく分けて以下の2種類の運動があります:
種類 | 内容 |
---|---|
表層流(表面の流れ) | 風によって動かされる(大気との連動) |
深層流(深い部分の流れ) | 密度の違い(温度・塩分差)で動く |
🌊 表層流(海洋表層の流れ)
主な原因:風による摩擦力
特に、貿易風や偏西風のような恒常風が海面に吹くことで、表面の水が動く。
コリオリの力の影響
地球の自転の影響で、流れの方向が曲げられる(大気と同じく)
代表的な海流の流れ(北半球)
海域 | 主な海流 | 向き |
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北太平洋 | 北赤道海流 → 黒潮 → 北太平洋海流 → カリフォルニア海流 | 時計回り |
北大西洋 | 北赤道海流 → メキシコ湾流(暖流)→ 北大西洋海流 → カナリア海流 | 時計回り |
▶ 北半球では時計回り/南半球では反時計回り
▶ 暖かい海流:暖流 / 冷たい海流:寒流
🌊 海流の名前と特徴(覚えよう!)
名前 | 暖流 or 寒流 | 場所 |
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黒潮(日本海流) | 暖流 | 日本列島の太平洋側、南から北へ |
親潮(千島海流) | 寒流 | 北太平洋・オホーツク海から南下 |
北大西洋海流 | 暖流 | ヨーロッパを温暖にする |
ペルー海流(フンボルト海流) | 寒流 | 南米の西岸 |
カリフォルニア海流 | 寒流 | 北アメリカの西岸 |
赤道海流 | 暖流 | 赤道付近を西へ |
▶ 暖流は雨をもたらし、寒流は乾燥をもたらすことが多い
🗾 湾流と気候の関係(例:日本)
- 黒潮 → 温暖湿潤な気候(台風・雨)
- 親潮 → 寒冷で霧が発生しやすい(北海道・三陸沖)
▶ 潮目(暖流と寒流がぶつかる場所)は、好漁場(プランクトンが豊富)
🐡 深層流(深いところの流れ)
原因:密度差(温度・塩分)
- 冷たい水 → 重い → 沈む
- 塩分が濃い水 → 重い → 沈む
→ これにより、深海で「深層流」が発生する
▶ 特に南極周辺や北大西洋で沈み込み、全世界を循環
熱塩循環(深層流のグローバルな循環)
別名「大きなベルトコンベア」とも呼ばれる、地球規模の水の流れ。
流れの例:
- 北大西洋で冷やされ沈む
- 深層流として南極を経て太平洋へ
- 太平洋で湧き上がり、表層流として再び大西洋へ
▶ 約1000年かけて1周するといわれる
▶ 地球全体の熱の分配や気候の安定化に重要
🌐 海流とエルニーニョ・ラニーニャ現象
エルニーニョやラニーニャは、赤道付近の太平洋の海水温の変化に関係する。
現象 | 海の状態 | 影響 |
---|---|---|
エルニーニョ | 東太平洋が高温 | 南米で豪雨、東南アジアで干ばつ |
ラニーニャ | 東太平洋が低温 | 東南アジアで雨が多く、日本は猛暑・寒波など |
受験チェックポイント ✅
チェック項目 | 内容 |
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🔲恒常風と表層流の関係 | 貿易風→赤道海流/偏西風→北太平洋海流など |
🔲海流の向き | 北半球:時計回り/南半球:反時計回り |
🔲黒潮・親潮の性質 | 暖流・寒流と気候への影響(漁場含む) |
🔲深層流の原因 | 温度と塩分の違い(熱塩循環) |
🔲エルニーニョ | 赤道太平洋の異常高温/気候の逆転現象 |