近年の共通テスト傾向分析
コレクトによる全体分析
共通テストの地学基礎および地学は、単なる知識の再生(暗記)能力を問う問題は減少し、初見の図・グラフ・文章といった膨大な資料を、制限時間内に正確に読み解き、地学の基本法則と結びつけて論理的に考察する能力を、極めて重視する傾向にあります。これは、知識の「量」よりも、知識の「使い方」と「思考体力」が問われる試験への変貌を意味します。
【地学基礎】の傾向と対策
文系受験生や、理科基礎で安定した得点を目指す受験生にとって、極めて戦略的な科目です。思考力を問う問題が多いため、対策を積んだ者とそうでない者の間で、明確な差が生まれます。
分野別 頻出テーマ
- 固体地球:プレート境界の種類と、そこで起きる現象(地震・火山)の組み合わせ。火成岩(火山岩/深成岩)と堆積岩(特に石灰岩・チャート)の分類。
- 地史:示準化石・示相化石の役割の区別。地質図や柱状図からの、不整合や断層の読み取り。
- 大気・海洋:天気図からの高気圧・低気圧の移動予測。梅雨前線や台風のメカニズム。エルニーニョ現象時の海水温と降水域の変化。
- 宇宙:HR図上での恒星の進化(主系列星→赤色巨星→白色矮星)。太陽系惑星の分類(地球型/木星型)。
- 防災:緊急地震速報のしくみ。津波の伝播速度。ハザードマップの意義。
対策の核心
地学基礎 攻略の三か条!
- 図表読解こそ、すべての基本! 教科書や資料集の、すべての図・グラフが「何を意味するか」を自分の言葉で説明できるようにしよう。
- 因果関係を「物語」で語れ! 「なぜ、西高東低だと日本海側で雪が降るのか?」「なぜ、外核は液体だとわかるのか?」といった、現象の「なぜ?」を、ストーリーとして語れるようになろう。
- 計算問題は、絶対に落とすな! S波到着時刻、湿度計算、地球の大きさなど、パターンが決まった計算問題は、数少ない得点源。確実にマスターしよう。
【地学】の傾向と対策
専門科目としての「地学」は、地学基礎の範囲を、より深く、より数理的に掘り下げる、本格的な理系科目です。現象の根本にある物理・化学法則の理解が、合否を分けます。
分野別 頻出テーマ
- 固体地球:重力異常(ブーゲー異常)とアイソスタシーの関係。地震波走時曲線と地球内部構造の推定。P波初動分布と発震機構の決定。結晶分化作用。変成岩の分類。
- 大気・海洋:断熱変化と大気の安定性(フェーン現象の計算)。地衡風のメカニズム(力のつり合い)。熱塩循環。
- 宇宙:ケプラーの法則と会合周期の計算。等級式を用いた、恒星の絶対等級や距離の算出。HR図と恒星の半径・進化の関係。ハッブル・ルメートルの法則と宇宙の年齢。
対策の核心
コレクトによる戦略分析
「地学」の攻略は、以下の3つの能力にかかっています。
- 数式を「言語」として使いこなす能力:公式を暗記するのではなく、その物理的意味を理解し、与えられたデータに適用して、未知の量を算出する能力。特に、\( P^2=a^3 \) (ケプラー), \( v=H_0 r \) (ハッブル), \( L=4\pi R^2 \sigma T^4 \) (光度) は、最重要ツールです。
- 三次元的空間認識能力:地質図から地下のしゅう曲構造を復元する、あるいは、天体の公転軌道を頭の中に描き、位置関係を把握するなど、2次元の情報から3次元の構造をイメージする能力が、極めて重要です。
- 論理的説明能力:「なぜ、山脈で負のブーゲー異常が見られるのか」「なぜ、西岸強化が起きるのか」といった、現象のメカニズムを、複数の物理法則を組み合わせて、過不足なく説明する能力。
これらの能力は、一朝一夕には身につきません。「ちがくナビ」の Advanced コンテンツを活用し、日頃から、本質的な理解を追求してください。