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地学基礎④:火山活動と火成岩

好奇心旺盛なちさまる この記事で探究すること

地球の内部から、灼熱のマグマが噴き出す、火山。そのダイナミックな活動は、新しい大地を創り出す、地球の創造の営みでもあるんだ。この単元では、マグマがどこで、どのようにして生まれるのか、そして、そのマグマの性質の違いが、火山の形や噴火のタイプ、さらには、そこから生まれる「火成岩」の種類を、いかに決定づけているのかを、論理的に解き明かしていくよ!

1. マグマの発生と火山の分布

マグマは、地球内部のどこでも作られるわけではない。主に、プレートの境界や、特殊な場所で、特定の条件下で岩石がとけることで発生する。

世界の火山の分布も、地震帯と同様に、プレートの境界(特に、広がる境界とせばまる境界)とほぼ一致している。

2. 火山の形と噴火のタイプ

火山の形や、噴火の激しさは、主に**マグマの粘性(ねばりけ)**によって決まる。マグマの粘性は、マグマに含まれる**二酸化ケイ素(SiO₂)の割合**に大きく影響される。

分析中のコレクト コレクトの論理 de 解説:マグマの性質と火山の形状
  • 玄武岩質マグマ
    • SiO₂の割合:少ない(約50%)→ 粘性が小さい(サラサラ)
    • 火山の形:溶岩が広く流れやすいため、傾斜がゆるやかな楯状火山を形成する。(例:ハワイのマウナロア)
    • 噴火のタイプ:ガスが抜けやすく、比較的おだやかな噴火が多い。
  • 安山岩質~流紋岩質マグマ
    • SiO₂の割合:多い(約60%~70%)→ 粘性が大きい(ネバネバ)
    • 火山の形:溶岩が遠くまで流れず、火口付近で盛り上がるため、円すい形の成層火山や、溶岩ドームを形成する。(例:富士山、雲仙普賢岳)
    • 噴火のタイプ:ガスが抜けにくく、圧力が一気に解放される、爆発的な噴火(火砕流など)を起こしやすい。

3. 火成岩の分類

マグマが冷えて固まってできた岩石を「火成岩」という。火成岩は、「マグマが冷えた場所(→組織)」と「マグマの種類(→色)」の2つの軸で分類される。

(※中学で学んだ「しんかんせんは、かりあげ」の語呂合わせを思い出そう!)

豆知識を話すコレクト コレクトの発展ラボ:変成岩

豆知識ですが、岩石にはもう一つ、第3の分類があります。それが「変成岩」です。既存の岩石(堆積岩や火成岩)が、地下深くで高い圧力を受けることで、もとの性質が変化(変成作用)してできた岩石です。

例えば、プレートの沈み込み帯では、低温で高い圧力がかかるため、「結晶片岩」のような特徴的な変成岩ができます(広域変成作用)。また、マグマが貫入してきたまわりの岩石は、マグマの熱によって変成され、「ホルンフェルス」のような硬い変成岩になります(接触変成作用)。

なるほど!と話すちさまる 共通テスト対策まとめ

火山と火成岩は、地学基礎の根幹をなす重要分野だ!

  1. マグマが発生する3つの場所(海嶺、沈み込み帯、ホットスポット)を覚える。
    それぞれが、どのプレート境界に対応するのかを理解することが重要。
  2. マグマの粘性(SiO₂の割合)と、火山の形・噴火様式の関係性を完璧に理解する。
    「サラサラ→ゆるやか・おだやか」「ネバネバ→急・爆発的」という対比で整理しよう。
  3. 火成岩の分類表を、自分で描けるようにする。
    縦軸に「火山岩/深成岩」、横軸に「SiO₂の割合(白っぽい/黒っぽい)」をとり、6つの岩石名を正しく配置できるように。組織(斑状/等粒状)との対応も必須。

練習問題

問1:富士山のような、傾斜が急な円すい形の火山を形成するマグマの性質(粘性、SiO₂の割合)を、簡潔に述べなさい。

問2:地下深くでマグマがゆっくりと冷え固まってできた岩石を何というか。また、その岩石に見られる特徴的な組織名を答えなさい。

問3:白っぽく、大きな結晶がキラキラと見える、等粒状組織の岩石がある。この岩石の名前として最も適当なものを答えなさい。

解答と解説

問1の答え:粘性が大きく、SiO₂の割合が多い。

問2の答え:
岩石の種類:深成岩
組織名:等粒状組織

問3の答え:花こう岩
【解説】「等粒状組織」であることから深成岩だとわかる。さらに、「白っぽい」という特徴から、深成岩の中でもSiO₂の割合が多い花こう岩だと判断できる。