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地学基礎⑲:太陽系の誕生と現在の地球

好奇心旺盛なちさまる この記事で探究すること

46億年前、この宇宙の片隅で、わたしたちの太陽系は産声をあげた。いったい何もない空間から、どうやって太陽や地球、そしてたくさんの惑星たちが生まれたんだろう? この単元では、現在の太陽系の姿を手がかりに、その誕生から現在までの進化のプロセスを科学的に推理する「太陽系形成論」を探究するよ。地球という奇跡の星が、いかにして生まれたのか、その起源にせまる旅だ。

1. 太陽系形成のシナリオ:星雲説

現在、最も有力とされている太陽系の誕生モデルが「星雲説」だ。これは、太陽系が、宇宙にただようガスや塵(ちり)の巨大な集まりである「星間雲」の中から生まれた、という考え方だ。

分析中のコレクト コレクトの論理 de 解説:太陽系誕生のステップ
  1. 星間雲の収縮と原始太陽の誕生:約46億年前、何らかのきっかけ(超新星爆発の衝撃波など)で、星間雲の一部が自らの重力で収縮を始める。中心部は、密度と温度が上昇し、やがて核融合反応を開始して、原始太陽としてかがやき始める。
  2. 原始太陽系円盤の形成:収縮する星間雲は、回転しながら、中心の原始太陽を取り巻く、平たい円盤状のガスと塵の集まり(原始太陽系円盤)を形成する。
  3. 微惑星の形成:円盤の中の塵は、互いに衝突・合体をくり返し、やがてkmサイズの岩石のかたまりである「微惑星」へと成長する。
  4. 原始惑星の形成と惑星の誕生:微惑星どうしが、さらに衝突・合体(集積)をくり返し、現在の惑星の原型となる、月サイズの「原始惑星」が多数生まれる。そして、これらの原始惑星が、最後の巨大衝突を経て、現在の8つの惑星へと成長したと考えられている。

2. 地球型惑星と木星型惑星のちがいが生まれた理由

太陽系形成論は、なぜ太陽に近い内側に「地球型惑星」が、遠い外側に「木星型惑星」ができたのか、その理由も見事に説明することができる。

3. 原始地球の進化と現在の地球

誕生直後の原始地球は、微惑星の衝突エネルギーによって、表面がどろどろに融けたマグマオーシャンに覆われていた。やがて、衝突が減って地表が冷え始めると、以下の劇的な変化が起きた。

  1. 重い鉄やニッケルは、中心部へと沈んでいき「核」を形成した。
  2. 軽いケイ酸塩鉱物は、浮き上がって「マントル」「原始地殻」を形成した(分化)。
  3. マグマから放出された水蒸気が、大気中で冷えて大量の雨となり、地表に「原始海洋」が誕生した。

そして、この原始の海の中から、最初の生命が誕生し、やがて光合成を行う生物の登場によって、大気に酸素がもたらされ、現在の地球環境の礎が築かれていったんだ。(→ 地学基礎⑨ 地球史との関連)

なるほど!と話すちさまる 共通テスト対策まとめ

太陽系の誕生プロセスは、物語として流れを理解しよう!

  1. 太陽系形成のキーワードの流れを覚える。
    「星間雲」→「原始太陽系円盤」→「微惑星」→「原始惑星」→「惑星」
  2. 地球型惑星と木星型惑星ができた場所と理由を説明できるようにする。
    キーワードは「太陽からの距離」と「温度」。太陽に近い場所では、氷やガスが存在できなかったことがポイント。
  3. 原始地球の進化のプロセスを理解する。
    「マグマオーシャン」→「核とマントルの分化」→「原始海洋の形成」という順番を覚えよう。

練習問題

問1:太陽系の惑星が形成されたと考えられている、中心の原始太陽を取り巻く、円盤状のガスと塵の集まりを何というか。

問2:太陽系形成の初期において、円盤の中の塵などが衝突・合体してできた、kmサイズの岩石のかたまりを何というか。

問3:地球型惑星が、木星型惑星に比べて小さく、密度が大きくなった理由を、「太陽からの距離」と「温度」という語句を用いて、簡潔に説明しなさい。

解答と解説

問1の答え:原始太陽系円盤

問2の答え:微惑星

問3の答えの例:
地球型惑星は、太陽からの距離が近く、温度が高かったため、氷やガスなどの軽い物質が存在できず、岩石や金属などの重い物質だけが集まって形成されたから。