地学基礎⑰:太陽系の天体
この記事で探究すること
わたしたちの地球が属する「太陽系」。その中心に君臨する太陽のまわりには、個性ゆたかな惑星たちが、それぞれの軌道を描いている。この単元では、地球の兄弟たちである8つの惑星の分類と特徴、そして、惑星以外に太陽系を構成する、小惑星や彗星といった、多様な天体たちについて、その素顔にせまっていくよ。
1. 惑星の分類
太陽系の8つの惑星は、その物理的特徴によって、大きく2つのグループに分けられる。地球がどちらのグループに属するのかを意識することが重要だ。
コレクトの論理 de 解説:惑星の2分類
- 地球型惑星
- メンバー:水星、金星、地球、火星
- 特徴:小さく、密度が大きい。岩石や金属を主成分とする固い地面を持つ。衛星の数は少ないか、持たない。
- 木星型惑星
- メンバー:木星、土星、天王星、海王星
- 特徴:大きく、密度が小さい。水素やヘリウムなどのガスを主成分とするため、固い地面を持たない。多数の衛星と、環(リング)を持つものが多い。
太陽からの距離で分けると、地球の公転軌道より内側をまわる内惑星(水星、金星)と、外側をまわる外惑星(火星~海王星)に分類することもできる。
2. 太陽系の小天体
太陽系には、惑星のほかにも、多様な小天体が存在している。
- 衛星:惑星のまわりを公転する天体。地球の月が代表例。
- 小惑星:主に火星と木星の公転軌道の間に、多数が集中して分布している、岩石質の小天体。
- 彗星(すいせい):氷と塵でできた、汚れた雪だるまのような天体。太陽に近づくと、太陽の熱で氷がとけてガスを噴き出し、美しい尾を引く。
- 太陽系外縁天体:海王星の軌道のさらに外側をまわる、氷を主成分とする小天体。かつて惑星に分類されていた冥王星も、この仲間だ。
コレクトの発展ラボ:太陽活動と磁気圏
豆知識ですが、太陽からは、光だけでなく、常に電気を帯びた粒子(プラズマ)の嵐が吹き付けています。これを「太陽風」とよびます。太陽の黒点数が増える約11年周期の「太陽活動極大期」には、太陽風はより強力になります。
地球には、固有の磁場(地磁気)があり、この太陽風に対するバリアの役割を果たしています。この、地磁気の力が及ぶ範囲を「磁気圏」とよびます。磁気圏は、太陽風の圧力によって、太陽側は押しつぶされ、夜側は長く尾を引いた、彗星のような形をしています。オーロラは、太陽風の一部が、この磁気圏の隙間から地球の大気に侵入し、空気の原子と衝突して光る現象なのです。
共通テスト対策まとめ
太陽系の天体は、グループ分けと特徴の比較がポイントだ!
- 惑星の順番(すいきんちかもくどってんかい)を完璧に覚える。
- 「地球型惑星」と「木星型惑星」の、それぞれのメンバーと、物理的特徴(大きさ、密度、主成分)を対比させて理解する。
- 「内惑星」と「外惑星」の見え方の違いを覚える。
「明け方・夕方しか見えない」「満ち欠けする」のは内惑星の特徴。 - 小惑星、彗星、太陽系外縁天体の、それぞれの特徴と、代表的な存在場所を覚える。
(小惑星帯、海王星の外側など)
練習問題
問1:太陽系の惑星のうち、地球型惑星に分類されるものを、太陽に近い順に4つ答えなさい。
問2:氷と塵でできており、太陽に近づくと尾を引く天体を何というか。
問3:木星型惑星に共通して見られる特徴を、地球型惑星と比較して、2つ簡潔に述べなさい。
解答と解説
問1の答え:水星、金星、地球、火星
問2の答え:彗星
問3の答えの例:
① 地球型惑星よりサイズが大きく、密度が小さい。
② 固い地面を持たず、ガスを主成分とする。