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地学基礎⑥:堆積作用と堆積岩

好奇心旺盛なちさまる この記事で探究すること

川原の丸い石、砂浜の砂、海の底のヘドロ…。これらはすべて、岩石がくだけて、水や風の力で運ばれてきた「堆積物」だ。この単元では、岩石が地表でくだける「風化」から、運ばれて積もる「堆積」までのプロセスと、それらが長い年月をかけて固まってできる「堆積岩」の種類と特徴について、粒の大きさや成分といった科学的な視点から、分類・整理していくよ。

1. 堆積物ができるまで

堆積岩のもととなる堆積物ができるまでには、大きく分けて3つのプロセスがある。

  1. 風化・侵食:地表の岩石が、温度変化や水の働き、植物の根などによって、物理的・化学的にもろくなり、くだけること。
  2. 運搬:風化・侵食によって生じた岩石片(れき、砂、泥など)が、河川の水や風、氷河などによって、より低い場所へと運ばれること。この過程で、粒子はぶつかり合い、角がとれて丸くなっていく(円磨度が高まる)。
  3. 堆積:運搬してきた力が弱まる場所(河口、湖、海底など)で、粒子が沈んで積もること。一般に、重く大きい粒子から先に堆積する。

これらのプロセスを経て積もった堆積物が、長い時間をかけて押し固められ(圧密)、鉱物の成分で cementing される(膠結)ことで、固い**堆積岩**となる。この一連の変化を続成作用という。

2. 堆積岩の分類

堆積岩は、その元となった堆積物の種類によって、大きく3つに分類される。

分析中のコレクト コレクトの論理 de 解説:堆積岩の3分類
  1. 砕屑岩(さいせつがん)
    • でき方:既存の岩石が風化・侵食されてできた、れき・砂・泥といった粒子が固まってできた岩石。
    • 分類基準:主に粒子の大きさで分類される。
      • れき岩:れき(直径2mm以上)が固まったもの。
      • 砂岩:砂(直径2mm~1/16mm)が固まったもの。
      • 泥岩:泥(直径1/16mm以下)が固まったもの。
  2. 化学岩
    • でき方:水に溶けていた物質が、化学的に沈殿してできた岩石。
    • 代表例:
      • 石灰岩:主成分は炭酸カルシウム(CaCO₃)。サンゴ礁など、生物の死がいからできるものも多い。うすい塩酸をかけると二酸化炭素が発生して泡立つ。
      • チャート:主成分は二酸化ケイ素(SiO₂)。放散虫などの微生物の死がいからできることが多い。非常に硬い。
  3. 火山砕屑岩(かざんさいせつがん)
    • でき方:火山の噴火によって放出された火山灰などが積もって固まった岩石。
    • 代表例:凝灰岩(ぎょうかいがん)
豆知識を話すコレクト コレクトの発展ラボ:堆積構造

豆知識ですが、地層の中には、それが堆積した当時の環境を知るための、特別な模様が記録されていることがあります。これを「堆積構造」とよびます。

  • 級化層理(級化成層):一つの地層の中で、下から上へ、粒の大きさがだんだん細かくなっている構造。海底地すべりなど、一度に大量の土砂が堆積したことを示す。地層の上下判定に使える。
  • 斜交層理(クロスラミナ):地層のしま模様が、層全体に対して斜めに交差している構造。水や風が一定方向に流れていたことを示す。
  • 漣痕(れんこん・リップルマーク):浅い水底の砂の表面にできる、さざ波の跡がそのまま化石になったもの。
なるほど!と話すちさまる 共通テスト対策まとめ

堆積岩は、火成岩との比較で問われることが多いぞ!

  1. 砕屑岩の3種類(れき岩・砂岩・泥岩)を、粒の大きさの基準(2mmと1/16mm)とともに覚える。
  2. 化学岩の代表格、「石灰岩」と「チャート」の主成分と特徴を完璧に区別する。
    「石灰岩=CaCO₃=塩酸で発泡」「チャート=SiO₂=硬い」は絶対!
  3. 火山灰が固まってできた岩石が「凝灰岩」であることを覚える。
    凝灰岩の層は、広範囲に一瞬で積もるため、地層の時代を特定する「鍵層」として非常に重要だ。

練習問題

問1:砂が固まってできた堆積岩を何というか。

問2:主成分が炭酸カルシウムで、うすい塩酸をかけると発泡する堆積岩は何か。

問3:火山の噴火によって堆積した火山灰が固まってできた岩石を何というか。

解答と解説

問1の答え:砂岩

問2の答え:石灰岩

問3の答え:凝灰岩