地学基礎⑨:古生物の変遷と地球史
この記事で探究すること
地球が誕生してから46億年。その気の遠くなるような時間の中で、地球環境は激しく変化し、生命は生まれ、進化し、絶滅をくり返してきた。この単元では、地質年代の区分をさらにくわしく見ていきながら、それぞれの時代に、どのような生物が繁栄し、どのような大事件が起きたのか、地球と生命が織りなす壮大な歴史物語を旅するよ。
1. 先カンブリア時代:生命の黎明期
地球の歴史の、実に約9割を占める、最も長く、謎に包まれた時代。約46億年前の地球誕生から、約5.4億年前までの期間を指す。
- 冥王代:地球誕生直後。微惑星の衝突がくり返され、地表はマグマオーシャンに覆われた、灼熱の世界。
- 太古代:地殻と原始海洋が形成され、約40億年前に、最初の生命(原核生物)が誕生したと考えられている。
- 原生代:約27億年前に、光合成を行う生物「シアノバクテリア」が登場。彼らが放出した酸素が、地球環境を劇的に変えていく。
- 酸素革命:大気中の酸素濃度が急上昇し、それまで酸素を必要としなかった多くの嫌気性生物が絶滅。
- 全球凍結(スノーボールアース):約7億年前、地球全体が氷に覆われる、極端な氷河時代が訪れたと考えられている。
2. 古生代:多様な生命の爆発と陸上進出
約5.4億年前~約2.5億年前。「カンブリア爆発」と呼ばれる、生物の多様性が一気に花開いた時代から始まる。
- カンブリア紀:三葉虫やアノマロカリスなど、硬い殻や骨格を持つ、多様な無脊椎動物が一斉に出現。
- オルドビス紀~シルル紀:魚類(最初の脊椎動物)が登場。植物(コケ植物など)が、初めて陸上へ進出。
- デボン紀:魚類が繁栄。「両生類」が登場し、脊椎動物の陸上進出が始まる。
- 石炭紀~ペルム紀:シダ植物が巨大な森林を形成(現在の石炭のもと)。爬虫類が登場し、乾燥した陸上環境へ適応していく。
古生代の終わりには、史上最大ともいわれる、生物の大量絶滅が起きた。
3. 中生代:「恐竜の時代」
約2.5億年前~約6600万年前。巨大な爬虫類である恐竜が、陸上の生態系の頂点に君臨した時代。
- 三畳紀:最初の恐竜と、最初の哺乳類が登場。
- ジュラ紀:恐竜が大型化し、多様化。始祖鳥などの鳥類も出現。裸子植物(イチョウ、ソテツなど)が繁栄。示準化石であるアンモナイトも、海で大繁栄した。
- 白亜紀:被子植物が登場。ティラノサウルスなど、最も有名な恐竜たちが活躍した時代。
約6600万年前、巨大な隕石の衝突が引き金となり、恐竜やアンモナイトを含む、多くの生物が大量絶滅したと考えられている。
4. 新生代:「哺乳類の時代」と人類の登場
約6600万年前~現在。恐竜が絶滅した後の地球で、哺乳類と鳥類、そして被子植物が、その地位をうばい、急速に繁栄していった時代。
- 古第三紀・新第三紀:大型の哺乳類(ナウマンゾウなど)が繁栄。示準化石であるビカリアも、この時代の海の生き物だ。
- 第四紀:氷期と間氷期をくり返す、氷河時代。約700万年前に、アフリカで最初の人類(猿人)が誕生し、やがて世界中へと広がっていった。
コレクトの発展ラボ:大量絶滅と進化
豆知識ですが、地球史において、生物の絶滅は、決して珍しい出来事ではありません。古生代末や中生代末に起きたような、短期間に多くの種が絶滅する「大量絶滅」は、少なくとも5回はあったとされています。
しかし、逆説的ですが、大量絶滅は、その後の生物の「進化」を促す、大きなきっかけともなりました。例えば、恐竜が絶滅したことで、それまで日陰の存在だった哺乳類が、多様な環境へと進出するチャンスを得たのです。絶滅は、ある時代の終わりであると同時に、次なる時代の始まりを告げる、地球のシステムの一部なのです。
共通テスト対策まとめ
地球史は、出来事の「順番」と「時代区分」が命だ!
- 先カンブリア時代・古生代・中生代・新生代の、大まかな年代と、順番を覚える。
(語呂合わせ:先に古い中華を新しく) - 各時代の、代表的な生物や、画期的な出来事をセットで覚える。
- 先カンブリア時代 → シアノバクテリア、酸素革命
- 古生代 → 三葉虫、魚類、両生類、陸上植物
- 中生代 → 恐竜、アンモナイト、哺乳類の出現
- 新生代 → 哺乳類の繁栄、人類の出現
- 古生代末と中生代末に、大きな「大量絶滅」があったことを理解する。