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地学基礎③:地震とその分布

好奇心旺盛なちさまる この記事で探究すること

「日本は地震大国だ」って、よく聞くよね。でも、それは「なぜ」なんだろう? 世界を見渡すと、地震がほとんど起きない国もたくさんある。この単元では、地震が発生する基本的なメカニズムと、その発生場所が世界の特定の地域に集中している理由を、プレートテクトニクス理論と結びつけて、論理的に解き明かしていくよ!

1. 地震の発生メカニズム

地震は、地下の岩盤に力が加わることで「ひずみ」が蓄積し、やがてその限界を超えて岩盤が破壊され、急激にずれる(断層運動)ことによって発生する。この考え方を「弾性反発説」という。破壊された岩盤が、元に戻ろうとする際の弾性エネルギーが、地震波として放出されるんだ。

この岩盤の「ずれ」のことを「断層」といい、かかる力の向きによって、主に3種類に分類される。

2. 地震の規模(マグニチュード)と揺れの大きさ(震度)

地震の大きさを表す指標には、性質の異なる2つの重要なものがある。それが「マグニチュード」と「震度」だ。

分析中のコレクト コレクトの数理的アプローチ:マグニチュードとエネルギー

マグニチュードは、対数尺度で定義されています。具体的には、マグニチュードが1増えると、地震のエネルギーは約32倍に、2増えると、32×32 ≒ 1000倍になります。

例えば、マグニチュード7の地震のエネルギーは、マグニチュード6の地震の約32個分に相当します。2011年に発生した東北地方太平洋沖地震(M9.0)は、1995年の兵庫県南部地震(M7.3)の、エネルギーで比較すると約1400倍以上にも達する、未曾有の巨大地震だったのです。

3. 世界の地震分布とプレートテクトニクス

世界の地震の震源を地図上にプロットすると、その分布はランダムではなく、線状に連なっていることがわかる。そして、この地震が多発する帯(地震帯)は、前単元で学んだ**プレートの境界**と、ほぼ完全に一致しているんだ。

豆知識を話すコレクト コレクトの発展ラボ

地震のメカニズム:アスペリティモデル

豆知識ですが、プレートの境界は、どこも均一に固着しているわけではありません。特に固く、普段は動かずにひずみを溜め込みやすい部分(アスペリティ)と、そのまわりの、ゆっくりと滑っている部分があるとされています。巨大地震は、このアスペリティが、蓄積されたひずみに耐えきれなくなり、一気に破壊されることで発生すると考えられています。この考え方を「アスペリティモデル」とよびます。

なるほど!と話すちさまる 共通テスト対策まとめ

地震はプレート理論とセットで、最重要分野だ!

  1. マグニチュードと震度の違いを、自分の言葉で説明できるようにする。
    「Mは地震のエネルギー(1つだけ)」「震度はその場所の揺れ(場所によって違う)」という区別は絶対!
  2. マグニチュードとエネルギーの関係(Mが1で32倍、2で1000倍)は必須の知識。
  3. プレート境界の種類と、そこで発生する地震のタイプを関連づける。
    「せばまる境界」=「海溝型地震(巨大・津波)」。「ずれる境界やプレート内部」=「内陸型地震(直下・活断層)」。

練習問題

問1:地震そのもののエネルギーの大きさを示す指標を何というか。

問2:地層を両側から押す力によって形成され、海溝型地震の主な原因となる断層のタイプは何か。

問3:マグニチュード8の地震のエネルギーは、マグニチュード6の地震のエネルギーの約何倍か。

解答と解説

問1の答え:マグニチュード

問2の答え:逆断層

問3の答え:約1000倍
【解説】マグニチュードが2ちがうので、エネルギーは約32 × 32 ≒ 1000倍となる。