ちがくナビ

地学を学べば、世界が見える。

地学⑨:地表の変化と堆積①
~風化から堆積、そして災害へ~

好奇心旺盛なちさまる この記事で探究すること

どんなに固い岩石も、地表に姿を現した瞬間から、雨や風、温度の変化にさらされ、少しずつ姿を変えていく。そして、くだかれた岩石片は、水の力で運ばれ、やがて静かな場所で新たな地層として積もっていくんだ。この単元では、山が削られて平野ができる、この壮大な物質の循環プロセスと、その過程で、ときに我々の生活をおびやかす「地質災害」のメカニズムについて探究していくよ。

1. 風化作用:岩石の分解

地表に露出した岩石が、物理的・化学的な作用によって、もろく崩れやすくなっていく現象を「風化作用」という。

風化によってできた岩石片や土砂が、重力の作用で斜面をすべり落ちることを「マスムーブメント」といい、斜面崩壊(がけ崩れ)や地すべりも、これに含まれる。

2. 河川の侵食・運搬・堆積作用

地表の変化に最も大きな影響を与えるのが、河川による水の働きだ。河川は、その場所の地形や、流れの速さによって、3つの作用を同時に行っている。

分析中のコレクト コレクトの論理 de 解説:河川の3作用と地形

河川の作用は、上流から下流にかけて、その主役が系統的に変化します。

  • 上流:谷の勾配が急で、流れが速い。そのため、川底や川岸を深く削る下方侵食側方侵食が卓越する。V字谷が形成される。
  • 中流:勾配がゆるやかになり、運搬作用が主となるが、堆積作用も始まる。洪水時に河川が運んだ砂礫が、扇状に堆積して扇状地を形成する。
  • 下流:勾配がさらにゆるやかになり、流れは非常に遅くなる。運搬できなくなった細かい砂や泥を、広く堆積させることが卓越する。洪水時に土砂が氾濫して氾濫原三角州(デルタ)を形成する。

河川の横断面を見ると、上流では侵食によってできたV字谷、中・下流では堆積によってできた平坦な氾濫原という、典型的な地形の違いが見られる。

3. 堆積岩とその堆積環境

運ばれてきた堆積物は、その場所の環境を反映した特徴を持つ。そして、それらが固まってできた堆積岩は、過去の地球環境を教えてくれる重要な手がかりとなる。

これらの砕屑岩に加え、サンゴ礁などでできる石灰岩や、火山の噴火でできる凝灰岩も、特定の環境を示す重要な堆積岩だ。

4. 地質災害:大地の変動がもたらすリスク

地球のダイナミックな活動は、ときに、我々の生活を脅かす「地質災害」として現れる。

警告するコレクト コレクトの防災ラボ
  • 地震による災害:建物の倒壊、津波、液状化、斜面崩壊など。
  • 火山による災害:噴石、火砕流、溶岩流、火山灰など。
  • 斜面崩壊:集中豪雨や地震の揺れが引き金となり、急な斜面が突然崩れ落ちる現象。がけ崩れ、地すべり、土石流などがある。
  • 地盤沈下:地下水の過剰なくみ上げや、地下資源の採掘などによって、地盤が広範囲にわたって沈下する現象。洪水のリスクを高める。

これらの災害リスクを正しく理解し、ハザードマップなどで自分の住む土地の成り立ち(地形)と、それに伴うリスクを知っておくことが、防災の第一歩です。

練習問題

【知識問題】
問1:岩石が、水や空気、温度変化などによって、物理的・化学的にもろくなっていく現象を何というか。
問2:河川が山地から平野に出るところで、運搬してきた砂礫を扇状に堆積させてできる地形を何というか。

【論述問題】
問3:ある地層から、れき岩、砂岩、泥岩が、この順番で下から上へと重なって発見された。この場所の堆積環境は、過去にどのように変化したと考えられるか。「水深」と「海岸からの距離」という2つの観点から、75字程度で説明しなさい。

解答と解説

問1の答え:風化(作用)

問2の答え:扇状地

問3の解答例:
水深がだんだん深くなり、海岸からの距離が遠くなっていった。なぜなら、下から上へ粒が細かくなることは、流れがおだやかになる環境への変化を示すから。(72字)