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地学㉕:太陽系天体

好奇心旺盛なちさまる この記事で探究すること

わたしたちの太陽系は、8つの惑星だけじゃない。その間や、はるか外側には、無数の「小天体」たちがただよっている。それらは、惑星になれなかった「できそこない」なんかじゃない。46億年前の太陽系誕生の記憶を、そのまま凍結保存した、貴重な「タイムカプセル」なんだ。この単元では、地球の兄弟である惑星たちの個性豊かな素顔と、太陽系の起源の謎を解くカギをにぎる、小天体たちの世界を探究するよ。

1. 惑星の誕生とそれぞれの特徴

太陽系誕生の初期、原始太陽系円盤の中で、微惑星の衝突・合体によって、惑星は形成された。太陽からの距離によって、その主成分は大きく異なり、個性豊かな惑星が生まれた。

分析中のコレクト コレクトの論理 de 解説:各惑星のプロファイル

【地球型惑星】

  • 水星:太陽に最も近い、最小の惑星。大気がほとんどなく、昼夜の温度差が極めて激しい。
  • 金星:厚い二酸化炭素の大気に覆われ、強力な温室効果により、表面温度は約460℃にも達する灼熱の惑星。「明けの明星」「宵の明星」ともよばれる。
  • 地球:液体の水が安定して存在し、生命を育んだ「奇跡の惑星」。
  • 火星:かつては水が流れていた痕跡があり、極には氷(ドライアイスと水)からなる極冠が見られる。薄い二酸化炭素の大気を持つ。

【木星型惑星】

  • 木星:太陽系最大の惑星。水素・ヘリウムを主成分とするガスの塊。美しい縞模様と、巨大な大気の渦である「大赤斑」が特徴。
  • 土星:氷の粒でできた、壮大で美しい環(リング)を持つ。密度が水よりも小さく、水に浮く惑星として有名。
  • 天王星:自転軸が、公転面に対してほぼ横倒しになっている、非常にユニークな惑星。メタンを多く含む大気のため、青く見える。
  • 海王星:太陽系で最も外側を公転する惑星。天王星よりもさらに濃い青色をしている。表面には、大黒斑とよばれる大気の渦が見られることがある。

2. 太陽系の小天体

太陽系には、惑星になりきれなかった、あるいは惑星が破壊されてできた、多数の小天体が存在する。

豆知識を話すコレクト コレクトの発展ラボ:系外惑星

豆知識ですが、1995年以降、天文学者たちは、太陽以外の恒星のまわりを公転する惑星、「系外惑星」を、次々と発見しています。その発見方法は、惑星が恒星の前を横切る際に、恒星の明るさがわずかに暗くなる現象(トランジット法)を捉えたり、惑星の重力によって、恒星がわずかにふらつく動き(視線速度法)を精密に観測したりするものです。これまでに5000個以上の系外惑星が発見されており、中には、地球のように、生命が存在できる環境(ハビタブルゾーン)にある可能性を秘めた惑星も見つかっています。

なるほど!と話すちさまる 受験対策まとめ

太陽系の天体は、その「特徴」と「分類」が命だ!

  1. 地球型惑星と木星型惑星の、それぞれのメンバーと、物理的特徴(大きさ、密度、主成分、環の有無)を、完璧に比較・対照できるようにする。
  2. 各惑星を象徴するキーワードを覚える。(例:金星→高濃度の二酸化炭素・温室効果、土星→水より小さい密度、天王星→横倒しの自転軸)
  3. 小天体の「種類」「主成分」「主な存在場所」をセットで覚える。
    • 小惑星 → 岩石質 → 火星と木星の間
    • 太陽系外縁天体 → 氷質 → 海王星の外側(カイパーベルト)
    • 彗星 → 氷と塵 → カイパーベルトやオールトの雲
  4. 彗星の2種類の尾が、なぜ太陽と反対の方向になびくのかを理解する。(太陽風と太陽光圧)

練習問題

問1:太陽系の惑星のうち、密度が水よりも小さい、唯一の惑星は何か。
問2:主に火星と木星の軌道の間に分布する、岩石質の小天体を何というか。
問3【論述】:金星と地球は、大きさや密度がよく似ている「双子惑星」とよばれることがある。しかし、その表面環境は、金星が約460℃の灼熱地獄であるのに対し、地球は平均約15℃と温和である。この決定的な違いを生み出した最も大きな原因は何か。「大気の主成分」と「温室効果」という語句を用いて、50字程度で説明しなさい。

解答と解説

問1の答え:土星

問2の答え:小惑星

問3の解答例:
金星は、大気の主成分である二酸化炭素による暴走的な温室効果によって、地表が高温になったため。(46字)