地学⑬:地球史
この記事で探究すること
地球が誕生してから46億年。その壮大な歴史は、地層や化石、岩石に残された様々な記録から、驚くほどくわしく解き明かされているんだ。この単元では、先カンブリア時代から、古生代、中生代、そして、わたしたち人類が登場した新生代まで、地球と生命がたどってきた進化の大筋を、時代の特徴的な出来事とともに、一気に旅していくよ。地球史は、地学のすべての知識を総動員して挑む、究極の物語だ!
先カンブリア時代(約46億年前~5.4億年前)
地球史の約9割を占める、生命の黎明期。
- 太古代:約40億年前に原始的な生命(原核生物)が誕生。
- 原生代:約27億年前に光合成を行うシアノバクテリアが出現し、活動を開始。その結果、大気中の酸素濃度が上昇する酸素革命が起き、縞状鉄鉱層が形成された。また、この時代の後期には、地球全体が凍結したとされる全球凍結(スノーボールアース)という極端な氷期が、少なくとも2回あったと考えられている。
古生代(約5.4億年前~2.5億年前)
「カンブリア爆発」によって、多様な生物が一斉に出現した、生命の躍進の時代。
- カンブリア紀:三葉虫やアノマロカリスなど、硬い殻や骨格を持つ多様な無脊椎動物が出現。
- シルル紀:植物(クックソニアなど)が本格的に陸上へ進出。
- デボン紀:魚類が繁栄し、「魚の時代」とよばれる。両生類が出現し、脊椎動物の陸上進出が始まる。
- 石炭紀:シダ植物が巨大な森林を形成(現在の石炭のもと)。
- ペルム紀(二畳紀):超大陸パンゲアが形成される。そして、その時代の終わりには、三葉虫をはじめとする、全生物種の90%以上が絶滅したとされる、史上最大の大量絶滅が起きた。
中生代(約2.5億年前~6600万年前)
「恐竜の時代」。巨大な爬虫類が、陸・海・空のすべてを支配した。
- 三畳紀:最初の恐竜と、最初の哺乳類が登場。
- ジュラ紀:恐竜が大型化し、多様化。アンモナイトも海で大繁栄。裸子植物が繁栄。
- 白亜紀:被子植物が出現。ティラノサウルスなどが活躍。時代の終わりには、巨大隕石の衝突が原因とされる大量絶滅が起き、恐竜やアンモナイトなどが絶滅した。
新生代(約6600万年前~現在)
「哺乳類の時代」。恐竜が絶滅した後の地球で、哺乳類と鳥類、そして被子植物が、その地位をうばい、急速に繁栄した。
- 古第三紀・新第三紀:大型哺乳類(ビカリアもこの時代の示準化石)が繁栄。ヒマラヤ山脈やアルプス山脈などの、現在の世界の主要な山脈が形成された。
- 第四紀(約260万年前~現在):氷期と間氷期をくり返す、氷河時代。約700万年前にアフリカで最初の人類が誕生し、やがて世界中へと広がっていった。
コレクトの発展ラボ:過去の気候変動とミランコビッチ周期
豆知識ですが、特に新生代第四紀の、約10万年周期でくり返される氷期・間氷期のサイクルは、地球が受け取る太陽放射エネルギーの、周期的な変化によって引き起こされていると考えられています。この変動の主な原因とされるのが、地球の公転軌道の離心率の変化(約10万年周期)、地軸の傾きの変化(約4万年周期)、そして地軸の歳差運動(約2.6万年周期)です。これら3つの天文学的な周期を、**「ミランコビッチ・サイクル」**とよびます。地球の気候は、地球内部の活動だけでなく、宇宙との関わりの中でも、大きく変動してきたのです。
受験対策まとめ
地球史は、時代の「順番」と、各時代を象徴する「キーワード」を結びつけることが、何よりも重要だ!
- 地質年代の大きな区分(先カンブリア時代、古生代、中生代、新生代)と、それぞれの代表的な生物・出来事を完璧に覚える。(例:古生代→三葉虫、中生代→恐竜、新生代→哺乳類)
- 生物の陸上進出の順番(植物→両生類→爬虫類)を理解する。
- 古生代末と中生代末に、生物の「大量絶滅」があったことを認識する。
- 新生代第四紀の、氷期・間氷期サイクルの原因が、「ミランコビッチ・サイクル」であることを覚える。
練習問題
問1:地球の歴史上、恐竜が繁栄した地質年代を何というか。
問2:約27億年前に出現し、光合成によって地球の大気に酸素をもたらした生物は何か。
問3【論述】:中生代の終わり(約6600万年前)に、生物の大量絶滅が起きた。このとき絶滅した代表的な生物のグループを2つあげ、この大量絶滅の最も有力な原因は何だと考えられているか、50字程度で説明しなさい。
解答と解説
問1の答え:中生代
問2の答え:シアノバクテリア
問3の解答例:
絶滅した生物:恐竜、アンモナイト。
原因:メキシコのユカタン半島付近に直径約10kmの巨大な隕石が衝突し、急激な環境変動を引き起こしたため。(49字)