小6理科⑤:生物と環境
この記事で学ぶこと
わたしたち人間をふくめ、すべての生き物は、一人では生きていけない。空気、水、光、そして他の生き物たち…。すべてが複雑につながりあって、一つの大きな「まとまり」を作っているんだ。この単元では、生物と、それを取りまく環境との間の、深いつながりについて学んでいくよ。小学校理科の、最後の冒険だ!
「食べる・食べられる」のつながり:食物連鎖
自然界では、ある生き物が他の生き物を食べることで、命とエネルギーが受けつがれていく。この「食べる・食べられる」という関係が、一本の鎖のようにつながっていることを「食物連鎖」というよ。
この鎖のスタート地点は、いつも「植物」だ。植物は、太陽の光と空気中の二酸化炭素、そして水を使って、自分で栄養分を作り出すことができる、唯一の存在なんだ(これを「生産者」とよぶ)。
そして、その植物を食べるのがバッタなどの「草食動物」。そのバッタを食べるのがカエルなどの「肉食動物」。さらにそのカエルをタカが食べる…。このように、植物から始まったエネルギーが、順番に受けつがれていくんだ。
コレクトの論理 de 解説
実際には、自然界のつながりは、一本の単純な鎖ではありません。タカはカエルだけでなくネズミも食べますし、ネズミは植物の種子を食べます。このように、複数の食物連鎖が、まるで網の目のように複雑にからみあっている状態を「食物網」とよびます。この網が複雑であればあるほど、ある一つの生物が急に減ったとしても、全体のバランスが崩れにくい、安定した環境であると言えます。
空気と水の流れ:生物と環境のつながり
生物は、他の生物とだけでなく、それを取りまく「環境」とも深く関わりあっている。特に、空気と水は、すべての命にとって不可欠なものだ。
- 空気とのつながり:植物は、昼間は光合成で二酸化炭素を吸って酸素を出し、わたしたち動物はその酸素を吸って二酸化炭素を出して生きている(呼吸)。このように、生物は空気の成分をたえず交換しあっている。
- 水とのつながり:植物は根から水を吸い上げ、葉から水蒸気として出す(蒸散)。その水蒸気が雲となり、雨となって、再び大地や川に水をもたらす。森に木がたくさんあると、地面の保水力が高まり、ゆっくりと水を川へ流す「緑のダム」の役割も果たす。
ちさまるといっしょに考えよう!
もし、人間が森の木をすべて切り倒してしまったら、そこに住んでいた動物や、川、そしてわたしたちの生活には、どんな影響があるんだろう?
それは、とても大切な問いかけだね。木がなくなれば、それをすみかや食料にしていた動物たちは生きていけない。地面の保水力が失われ、大雨がふると一気に土砂が川に流れこみ、洪水や土砂くずれが起きやすくなるかもしれない。このように、一つの環境の変化が、まわりまわって、わたしたち人間の生活にも大きな影響をおよぼすことがあるんだ。
コレクトの最終講義:生態系
これまで学んできた、ある場所に住む生物たち(生産者や消費者)、そして、それらを取りまく空気・水・光・土といった環境。これら全てを一つの大きな「まとまり」としてとらえる考え方を、「生態系(エコシステム)」とよびます。
わたしたち人間も、この生態系の重要な一員です。わたしたちの活動が、この繊細なバランスを良くも悪くも大きく変えてしまう力を持っています。この生態系のしくみを正しく理解し、持続可能な形で関わっていくこと。それが、これからの未来を生きていく君たちに課せられた、最も重要な使命なのです。
チャレンジ問題:最後の問い
きみの家の近くの公園や森を、一つの小さな「生態系」だと考えてみよう。その生態系のバランスを保つために、わたしたちにできることは何だろうか? 具体的なアイデアを3つあげてみよう。
こたえの例を見てみる
- ごみを捨てない、見つけたら拾う。(ごみが、すみかや水辺をよごすのをふせぐ)
- 植物や生き物を、むやみやたらに採らない、傷つけない。(食物網のバランスをくずさない)
- 公園のルールを守って遊ぶ。(生き物たちが安心してくらせる環境をまもる)